履歴書の自己PR欄は自由度が高い項目だからこそ、どのように作成したらよいかと悩む方は多いのではないでしょうか。特に、応募先の業種や職種が未経験であれば、「アピールできる要素が少ない」と感じることもあるかもしれません。この記事では、自己PRを作成するポイントと注意点を解説します。自己PRの例文も紹介しているため、未経験の方でも魅力的な自己PRが書けるようになります。ぜひ参考にしてみてください。


目次
未経験でもアピールできる!未経験者ならではの強みとは
未経験の仕事に応募する場合、「何をアピールすればよいかわからない」「経験者と比べると不利なのではないか」と感じる方も多いかもしれません。しかし、未経験者だからこそ採用したいという企業も多く見受けられます。ここでは、未経験者ならではの強みを紹介します。
固定観念にとらわれていない
固定観念にとらわれていないという点は、未経験ならではの強みだといえます。仕事の知識や経験が少なく固定観念にとらわれていないため、新たな知識を吸収しやすいです。
例えば、一つの企業に長く勤めていた場合、企業の文化やその職場ならではの仕事のやり方に慣れてしまっているため、新しい職場の仕事の進め方に馴染めないケースもあります。一方で、未経験者の場合、こだわりや先入観がないため新たな職場に順応しやすいです。
そのため、イチから育てる方がかえって成長スピードが早いと考えて未経験者を積極的に採用する企業も珍しくありません。
自由な発想ができる
未経験の強みとして、自由な発想ができる点が挙げられます。その理由は経験したことがない分野や仕事だからこそ、専門知識や過去の経験にとらわれずに自由な考え方ができるためです。今までにない新しいサービスや商品を生み出したいという場合、客観的な立場から新しいアイデアや意見を出せる未経験者が欲しいという企業も見受けられます。


未経験者が企業にアピールできる要素
未経験ならではの強みがあるとわかりましたが、転職時にはどのようなポイントをアピールすればよいのでしょうか。未経験者が企業にアピールできる要素は以下の6つです。
1.学ぶ姿勢
2.働く意欲
3.職歴や実績
4.活かせるスキルや考え方
5.職場以外の経験
6.志望動機
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
学ぶ姿勢
未経験の仕事に応募する場合、学ぶ姿勢は企業にアピールできるポイントの一つです。知識や業務を吸収して学んでいきたいと伝えると、ポテンシャルの高さをアピールできるでしょう。
特に、IT業界など技術の進歩が著しい業界では、学ぼうとする姿勢が高く評価されます。未経験からITの仕事に応募する場合、プログラミング言語を独学で勉強していたり、自分で簡単なアプリを作ったことがあったりするのであれば、自分で勉強を進めていることを自己PRに記載しましょう。受け身ではなく自分から積極的に学ぶ姿勢は、企業にプラスの印象を与えられます。
働く意欲
未経験者が企業にアピールできる要素として、働く意欲が挙げられます。「仕事を通して成長し経験者に追いつきたい」「具体的にこのようなことを成し遂げたい」など、仕事に対する熱意や意欲をアピールしましょう。仕事内容や業界についてイメージできている候補者だと印象付けることができ、入社後に活躍できる人材であることを伝えられます。
職歴や実績
未経験の仕事に応募する場合でも、これまでの経験が役に立たないわけではありません。転職前の職種や業種が別の分野でも、志望先に活かせる経験があればアピール要素となり得ます。どのような業務を行っていたかや取り扱い商材などをできる限り具体的に記載しましょう。
実績を記載する際のポイントは、数字を交えてアピールすることです。売上金額や目標達成率など、数値で表せる実績があれば自己PR欄に忘れずに記載するとよいでしょう。「〇〇を意識して仕事に取り組んだことで売上1位を達成できた」のように、数値とともに具体例を書いてみてください。新しい仕事でも活かせる実績をアピールできれば、「未経験からでも活躍してくれそう」というプラスイメージを与えられるでしょう。
活かせるスキルや考え方
職歴や実績だけでなく、スキルや考え方も企業にアピールできます。応募する職種で活かせるスキルを洗い出してみてください。幅広い職種で活かせるスキルの例として、コミュニケーション能力や事務処理能力、交渉力、タイムマネジメント力などが挙げられます。さらに、「指示を待つのではなく自発的に考えられる」「物事を論理的に考えて行動できる」など、自身の考え方をアピールすることも可能です。関連資格がある場合は、それも自己PRに記載できます。現在の仕事だけでなく、どのような仕事でも活かせるスキル・考え方があります。自分の強みとなりそうなポイントを書き出してみましょう。
職場以外の経験
未経験の仕事に応募する際、職場以外の経験も企業にアピールできるポイントです。これまでの業務経験以外でも、仕事で役立てられるものがあればアピールできます。独自に勉強したことや趣味で取り組んでいることなど、専門的な知識を得るまでに至っている場合であれば、自己PR欄に記載しましょう。
志望動機
志望動機に自己PRを含めることも可能です。応募先企業で働きたいという熱い気持ちをアピールできます。その際には、企業の社風や企業理念などを調べ、志望先に対する興味や理解の深さを伝えるようにしましょう。しっかりと企業について理解していれば、入社後どのように働きたいかという部分を企業の方針に関連づけてアピールしやすいです。
また、企業のサービスや商品、事業内容なども欠かさずリサーチしておくことが大切です。ありきたりな志望動機では採用担当者に良い印象を残すことはできません。「他の企業ではなく、なぜその企業でないとだめなのか」を深掘りして、自分がどのように企業に貢献していけるかを説明できるように準備しておきましょう。


未経験で自己PRを作成するときのポイント
未経験でもスキルや職歴、志望動機などの要素は企業にアピールできるポイントだと紹介しました。アピールできるポイントを整理すれば、自己PRを作成できます。ここでは、未経験で自己PRを作成するときのポイントを紹介します。
自己分析をしてスキルや経験を棚卸しする
まず、自己分析をしてスキルや経験を棚卸ししましょう。これまでのキャリアを振り返り、身につけたスキルや資格、自分の長所・短所などを洗い出します。例えば、「目標を達成するためにどのようなポイントを意識して仕事に取り組んだか」「業務を通してどのようなスキルが身についたか」などを書き出してみましょう。
最初は自己PRに書ける強みが見つからなくても、じっくり自己分析することで未経験でもアピールできるポイントを見つけやすくなります。
共通のスキルを探す
自分のスキルや経験を棚卸しできたら、応募先の仕事でも共通するスキルを探してみましょう。業種や職種が違っても活かせる共通のスキル(ポータブルスキル)は存在します。具体的なポータブルスキルの例として、情報収集能力、コミュニケーション能力、スケジュール管理力、課題解決スキルなどが挙げられます。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjobtagでは、ポータブルスキルを見える化するツールが利用できます。測定結果に合わせて自分の強みを活かせる職務がわかるため、参考にしながら自己PRを組み立ててみてもよいかもしれません。
企業が求めている人物像を確認する
未経験で自己PRを作成する際には、企業が求めている人物像を確認することが大切です。企業が欲しい人物像にマッチしていないスキルをアピールしても、魅力的な自己PRにはなりません。企業研究をして、企業がどのような人物像を求めているかを把握しておきましょう。求人の募集要項や採用ページなどにも、歓迎スキルや求める人物像などが記載されているケースも多いためチェックしてみてください。
企業がどのような人材を求めているかがわかったら、自分の特性やスキルと照らし合わせて求められている人物像と合致するものを探してみましょう。例えば、チームワークが求められている仕事であれば、これまでの経歴においてチームで協力して取り組んだ仕事などのエピソードを記載するとよいでしょう。求める人物像に合う内容をアピールすれば、魅力的な自己PRを作成できます。
アピールポイントを簡潔にまとめる
未経験で自己PRを作成するときのポイントの一つとして、アピールポイントを簡潔にまとめるという点が挙げられます。企業が求めている人物像にマッチするスキルが複数見つかった場合、そのスキルを全て自己PRに盛り込んでアピールしたいと考えることがあるかもしれません。
しかし、あまりに多くのアピールポイントを盛り込むと、一つひとつのポイントが抽象的になり印象が薄れてしまいがちです。そのため、アピールポイントはできれば1つに絞り込むことをおすすめします。多くても2つまでにするとよいでしょう。特にアピールしたいポイントを一つ選び、具体的なエピソードなどを交えながら自己PRを作成します。複数のポイントをアピールするよりも、一つのポイントを深掘りする方が採用担当者にプラスの印象を与えられるでしょう。
客観的な評価を含める
自己PRを作成する際は、客観的な評価を含めるようにしましょう。未経験の自己PR文は主観的になりやすいため気をつけてください。第三者からの評価や評判など、客観的な視点を含めることで根拠を説明できるため説得力が増します。
例えば、「上司やお客様からどのような評価を得ていたか」を記載できれば、第三者からの視点をプラスできます。売り上げの成績など数値で表せる実績があれば、採用担当者も入社後の活躍をイメージしやすいです。自己PRを作成したら、他者に読んでもらうとよいでしょう。客観的な視点から確認してもらうことで改善点が見つかり、より説得力のある自己PR文を作成できます。
今後の可能性を強調する
未経験で自己PRを作成する場合、今後の可能性を強調することが重要です。ポテンシャル採用として未経験者を積極的に採用する企業も増えています。求人によっては9割が未経験からのスタートという募集も見受けられます。今後の伸び代は十分なアピール要素となるのです。
入社から5年後や10年後のキャリアビジョンを考えて、将来性を感じさせる自己PRを作成しましょう。今後、どのように成長して企業に貢献したいかを伝え、入社後の働きぶりをイメージしてもらうことが大切です。


自己PRを作成するときの構成は?
ここでは、自己PRを作成するときの構成を紹介します。自己PR文は読みやすさを意識して作成しましょう。魅力的なアピールポイントが見つかっても、わかりやすく相手に伝えられなければ意味がありません。自己PRを作成するときは、最初に簡潔な結論を述べましょう。
次に、その結論を裏付ける根拠を具体的なエピソードとともに紹介します。これまでの成果や実績などがあればエピソードに含めるようにしてください。具体的なエピソードを記載することで、これまでどのように活躍してきたのかを想像してもらいやすくなります。
最後は、入社後に実現したいことなど、応募先企業で働くことへの意欲が伝わるような言葉で締めくくります。重要なポイントが伝わるように、構成も意識して自己PRを作成してみてください。
これは避けよう!NGな自己PRの例
自己PRを作成したら、以下の3点に該当していないかをチェックしてみてください。
・具体性に欠けている
・専門用語が使われていてわかりにくい
・分量が適切でない
上記に当てはまるポイントがあれば、見直しが必要です。ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
具体性に欠けている
作成した自己PR文が具体性に欠けていないかどうかをチェックしてみましょう。あいまいで抽象的な表現では、採用担当者にアピールポイントが伝わりにくいです。用意された自己PRのテンプレートを使い回しているような印象を与えてしまう恐れもあるため気をつけましょう。
自己PRを作成する際は、具体的なエピソードや数字を交えるとイメージしてもらいやすいです。自分ならではのエピソードを伝えられるように、アピールしたいポイントを深掘りしてみるとよいでしょう。
専門用語が使われていてわかりにくい
自己PRを作成したら、専門用語が使われていてわかりにくいポイントがないかどうかを確認し、業界以外の人にも伝わるような一般的な言葉を使うようにしましょう。専門用語を多用すると、配慮のない人だと思われかねません。専門用語と気づかずに使っている場合もあるので注意が必要です。
魅力をアピールできるポイントであったとしても、専門用語が多くて要点が伝わらなければ意味がありません。異なる業界の職種に応募する場合は、これまでの業界の専門用語を使うのは避けるようにしましょう。もし専門用語を使わないと内容を説明できない場合であれば、注釈で補足するなどして、誰が読んでも理解できるように説明することが大切です。
分量が適切ではない
自己PR文を作成したら、分量が適切かどうかをチェックしましょう。アピールポイントが多く、長文になりすぎていると冗長になりマイナスの印象を与える恐れがあります。先ほども説明しましたが、アピールポイントは一つに絞り、要点が伝わるように自己PRを作成しましょう。
また、文字数が少なすぎても企業に熱意を伝えることができません。具体例を追加できないかどうかを再度チェックしてみてください。履歴書の自己PR欄の適切な文字数は300字前後だとされています。300字を目安に自己PRの分量を調節してみるとよいでしょう。


面接で自己PRを語るときの注意点
自己PRは、面接でよく聞かれる質問の一つです。ここでは、面接で自己PRを語るときの注意点を3つ紹介します。
短所をそのまま伝えない
自己PRを面接で語るときは、短所をそのまま伝えないように気をつけましょう。自己PRで「長所と短所をアピールしてください」と言われたときに、短所を率直に伝えすぎるとマイナスの印象になってしまう場合があります。「マルチタスクが苦手」「チームで行動するのが苦手」などの短所をそのまま伝えた場合、求めている人物像とマッチしないと判断されるなど、ネガティブな印象を与えてしまうケースもあるため注意が必要です。
長所にもなり得る短所を考えておき、その短所を改善するために努力している点もセットで伝えられれば、採用担当者にポジティブな印象を与えられます。例えば、「視野が狭い」という短所を伝える場合は、「集中して深く突き詰められる」という長所にも変換できる点や、没頭しすぎないように時間を決めて仕事に取り組んでいる点などを伝えれば、自己PRをプラスの印象で締めくくることができます。
受け身の姿勢を前面に出さない
面接で自己PRを語るときの注意点は、受け身の姿勢を前面的に出さないことです。未経験の仕事に応募する場合、学ぶ姿勢をアピールすることは重要です。しかし、「転職先で教えてもらう」という受け身のスタンスを出しすぎるとプラスに評価されないケースもあるため注意しましょう。
実際に、「仕事に対して受け身である」という理由から、面接で不採用になるケースも少なくありません。未経験の場合は特に、積極的に学んでいく意欲を伝えるようにするとよいでしょう。自発的に考えて能動的に行動できる人材であることや、学びを継続できる人材であることを具体例とともにアピールできれば、企業に好印象を与えられます。
あこがれだけで応募していると思われないようにする
面接で自己PRを語るときは、あこがれだけで応募していると思われないように気をつけましょう。その理由は、あこがれだけで応募してきた未経験者は、期待と現実が違ったときにすぐに辞めてしまうと考えている企業も珍しくないためです。未経験の仕事に転職する場合、あこがれの職種や企業に挑戦する人も多いです。
しかし、企業やブランドのファンであることだけを語りすぎてもプラスとして捉えられないケースもあるため注意しましょう。企業や職種へのあこがれだけでなく、入社後にどのように貢献できるかなど、採用側のメリットも提示できるように準備しておくことが大切です。


【パターン別】未経験者の自己PR例を紹介!
最後に、未経験者の自己PR例を紹介します。未経験の仕事に応募する際にアピールしやすい「意欲」や「活かせるスキル」の例文を解説しています。ぜひ、自己PRを作成する際の参考にしてみてください。
意欲をアピールしたい
【自己PRの例文:未経験から経理職に挑戦する場合】
前職では、約3年間一般事務の仕事に従事してまいりました。社内の人から頼りにされる場面も多く、大きなやりがいを感じていましたが、今後はより専門性の高い人材として活躍したいと考え経理職を志望しました。経理は未経験ではありますが、新たな職場でも役立つ知識を身につけるため、日商簿記の取得に向けて日々勉強に励んでいます。いち早く経理の業務を覚えて、即戦力として活躍できるよう尽力いたします。入社後は縁の下の力持ちとしてしっかり企業を支えていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
活かせるスキルをアピールしたい
【自己PRの例文:前職で培った傾聴力をアピールする場合】
コールセンターのカスタマーサポート業務を4年間担当してきました。お客様から「ありがとう」と感謝される機会も多くやりがいを感じていましたが、自分の成果を売上げとして評価される環境でさらに成長したいと考え営業職を志望しました。前職では、お客様の困りごとに耳を傾けて、その時々の状況に合わせた解決方法を提案してきました。入社後は、前職で培った傾聴力を活かしてお客様との信頼関係を構築し、潜在ニーズを引き出せるような提案をしていきたいと考えています。これまでの経験を活かして成果を上げ、貴社に貢献していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
未経験でもうまくアピールすれば魅力的な自己PRになる!
未経験でも自己分析してスキルや経験を棚卸しすれば、アピールできる要素が見つかります。未経験だからこそアピールできる内容もあり、それが企業にとって魅力にうつることもあるため、企業が求める人物像にマッチする内容の自己PRを考えてみましょう。今回紹介した自己PRでアピールできる要素や注意点、例文を参考に、自己PRを作成してみてください。
