第二新卒の転職は、ほとんどの方が過去に転職経験がないため、どの業界や職種を選んだらいいかと悩むことが多いと思います。今後の自分のキャリアに影響するため、特に企業選びは重要です。
この記事では、第二新卒におすすめの業界や企業選ぶ際に注視すべきポイントについて詳しく解説します。


目次
第二新卒のニーズは増加傾向にある
新卒で就職したのち3年以内で転職を希望する、いわゆる「第二新卒」。近年、転職市場では、深刻な人材不足を理由にこの第二新卒に対するニーズが増加傾向にあります。
特に、以下の点は、多くの企業が第二新卒の「良い点」として捉えている傾向があります。
・社会経験が少ない分、柔軟性に優れている。
・年齢的に若いため企業風土へ適応してくれやすい。
・能力開発の余地も非常に大きく、将来性がある。
・すでに社会人としての経験があるため、ビジネスマナーに関する知識があり、また基本的なビジネススキルを備えている。
一方で、第二新卒に対して多くの企業が持つ懸念点もあります。たとえば、下記のようなものです。
・早期離職をしているため、またすぐに辞めてしまうかもしれない。
・スキルや経験が十分ではない点は仕方ないが、柔軟な対応ができるか、将来的にどれほどの成長が見込めるか、未知数な部分が多い。
第二新卒の転職においては、まず企業が思う良い点と不安要素を理解しておくことが大切です。良い点は自身のアピールポイントに活かし、企業が思う不安要素は、履歴書・職務経歴書などの自己PR欄の内容や面接などのプレゼンテーションの際にフォローするようにしましょう。
たとえば、早期離職の懸念に対しては、「将来のステップアップを目指して転職をした」など、前職の退職理由をポジティブな言葉で説明すると良いでしょう。スキルや経験不足、対応力に関しては、その意欲があることを言語化し、自身に足りない部分に対し何か勉強していることがあればそれをプレゼンテーションするようにしてください。


第二新卒におすすめの業界は?
第二新卒での転職の際は、将来性や今後のキャリアの構築を念頭に置くことも大切です。ここからは、IT業界、広告業界、人材業界、コンサルティング業界、金融業界の5つについて詳しく解説します。
IT業界
IT業界は、IT(情報技術)を活用したサービスを扱う業界を言います。ITに関する専門知識が必要ですが、近年は、人材不足を主な理由に、未経験者にも幅広く門戸を開いていることが多く、第二新卒にもおすすめです。
また、IT業界には、今後さらなる成長を見込める企業が多数存在していることも魅力のひとつです。また一般的に、他の業界では第二新卒では新卒と同じ枠で採用になる場合が多く、現状よりも年収が下がってしまうケースも見られますが、IT業界は給与水準が高い傾向にあることも特徴でしょう。なかでも、外資系や一次請けのIT企業は、他のIT企業よりも給料などの待遇が良いことがあります。加えて、年功序列ではなく、自身の成果が昇給や昇進に反映する成果主義を取っている企業も多いため、人によっては、やりがいを見出しやすい業界だとも言えます。また、職種にもよりますが、インターネット環境が整っていればリモートワークが可能な企業も多く、働き方を重要視している方にはIT業界がマッチしている場合もあるでしょう。
仕事を通じて、プログラミングスキル、プロジェクトの管理能力や、ビジネスインテリジェンス(企業の膨大な業務データを収集、分析、結果を可視化し、業務や経営の意思決定に活用する仕組み)などのスキルが身につけられるのも特徴です。IT業界で実績を積み、高い専門性を身につけることで、コンサルタントやマネジメントなどの職種へのキャリアアップ、またフリーランスとして独立できる可能性もあります。
広告業界
インターネットやSNSサービスが一般化し、Web広告が盛んになっている現状から、広告業界も第二新卒におすすめの業界だと言えます。広告業の代表的なものが広告代理店で、近年は、第二新卒も対象にしたポテンシャル採用も積極的に行っている企業も多くあります。
広告代理店は、クライアントの広告・宣伝を代行する会社で、広告プランナー、コピーライター、デザイナー、営業、また近年はインターネット広告の効果やマーケット分析を担当するデータサイエンティストのような職種も含まれます。商品やサービスのプロモーションやイベントに特化した広告会社もあります。


人材業界
人材業界は、人材を探している企業と求職者のマッチングを促す業界で、主に人材紹介会社、人材派遣会社、求人広告を展開する会社などが挙げられます。
昨今は、多くの人があたりまえのように転職するようになっているため、この人材業界も、高いニーズが今後も見込まれる業界のひとつだと言われています。未経験者でも積極的に採用している傾向にあり、第二新卒の転職にもおすすめの業界です。仕事柄、コミュニケーションスキルや営業スキルが求められますが、そういったスキルを向上させたいと考えている方にはチャレンジしがいのある業界です。
コンサルティング業界
コンサルティング業界は、やりがいを持って仕事をしたい人や、若いうちに幅広いビジネススキルを身につけたい方におすすめの業界です。コンサルタントの仕事内容は、企業の経営相談をし、企業の課題を解決するために支援することです。企経営面だけでなく、社内システムや人材管理などに関する幅広い知識が必要となってきます。そのため、勉強することも多く、クライアントの問題解決に多忙になる場合もありますが、成果を評価されて給与面も上がりやすい職種だと言われています。
コンサルタント業界でも、近年は第二新卒を歓迎している企業が増えています。ただ、時に最適な答えを出すために専門的な知識や考える力が求められるので、学ぶことが苦ではなく、思考力に自信がある方に向いている業界だと言えるでしょう。
金融業界
銀行や証券会社などの金融業界は、「安定性している」「平均年収が高い」という理由から人気の高い業界です。メガバンクなどの大手については、未経験での採用は難しい傾向にありますが、地方銀行や保険会社などは、第二新卒の求人を行っていることもあり、チャレンジしてみるのもおすすめです。
この業界では、金融に関わる専門的な知識が必要とされるため、入社後も勉強が不可欠ですが、こうしたお金に関する知識は、普段の生活にも活かせることもメリットでしょう。証券会社などは多忙なイメージがありますが、近年はワークライフバランスにも力を入れている業界であり、多様な働き方を認めている企業も増えています。
第二新卒におすすめの職種は?
ここからは、第二新卒におすすめする職種を紹介します。近年、特に第二新卒に門戸が開かれているのが営業職とエンジニアの2つについて解説します。
営業職
営業職は、特別な資格が必要ない職種であるため、第二新卒でも転職できるチャンスが多い職種のひとつです。実際に、特定の業界に限らず営業職はビジネス全般に不可欠なものであり、営業職未経験者にも広く門戸が開かれています。
特別な資格は基本的に不要だと記しましたが、業務内容上、コミュニケーションスキルや基本的なビジネスマナーの知識は求められます。営業職は実力や結果が重視され、加えてインセンティブ制度を採用しているケースも多いため、成果にあわせて給与が上がりやすいもの魅力です。成果が数字としてはっきりとわかるので、人によってはモチベーションを高く保ちながら働くこともできるでしょう。人と話をするのが好きな方、フットワークが軽い方にもおすすめの職種です。
エンジニア
エンジニアは専門性の高い職種であり、今後、手に職をつけたいと考えている人に向いている職種でしょう。ニーズや将来性を考えた場合、ITエンジニアは特におすすめです。ITエンジニアには、プログラマー、システムエンジニア、ネットワークエンジニアなどの職種があります。プログラマーは、細かい作業が好きな方にぴったりの職種で、未経験でも転職しやすいと言われています。
エンジニアへの転職の際は、プログラミングスキルがあると評価されやすくなります。未経験の場合は、プログラミングスクールに通ったり、書籍や学習サイトなどで独学したりして、基本的な知識を学んでおくようにしましょう。スキルを実践に活かし、確実な実績を重ねれば、ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなどへのキャリアアップも見込まれます。


第二新卒におすすめの企業規模は?
近年は、中小企業のみならず、積極的に第二新卒採用を行う大手企業も増えています。しかしながら、今後はどのように働いていきたいかによって、どの規模の企業に転職すべきかを定めることも大切です。大手企業、あるいは中小企業に転職する、それぞれのメリットやデメリットをきちんと確認しておきましょう。
大手企業に転職するメリット
大手企業に入社するメリットのひとつは、教育環境が整っている点です。大手企業では、従業員数が多いため、時間をかけて新人教育するプログラムや研修制度がしっかり設けられているケースが多く、仕事に関する知識やマナーを基礎からしっかりと学ぶことができます。また、倒産のリスクやリストラのリスクはゼロとは言い切れませんが、中小企業と比べて年収面で安定していることもそのメリットです。さらに、取引先も大手企業であることが多く、事業規模の大きい仕事に携われる可能性が高いことも魅力のひとつでしょう。
加えてもうひとつ利点を挙げれば、社会的な信用性が高いことです。こうした社会的信用力は、たとえば、賃貸契約やローンを組む際の審査などに基準とされることも多く、自身の生活に影響してくることもしばしばです。
大手企業への転職は、一般的に狭き門ですが、企業の求めているスキルや人物像にマッチしていれば、採用されるケースもあります。
大手企業に転職するデメリット
大手企業に転職するデメリットは、個人が担当する業務の幅が狭いこと、関わる人数が多くなるため、自由に選択して決定することが難しいことなどが挙げられます。また、年功序列型の企業も多く、自分の上げた成果が給料に反映されにくい場合が多いことも、あらかじめ知っておくべきでしょう。
また旧態然とした大手企業では、IT化が進んでいないこと、形式的な会議や稟議が多いこともあります。特に第二新卒の場合、転職後すぐに主要なプロジェクトに携われることは非常に稀であり、モチベーションを高く保てないと感じる方もいるかもしれません。転職して、すぐに自分の実力を発揮して、すぐに成果を出したいと考えている方は、じつは大手企業は向いていない可能性もあります。
中小企業に転職するメリット
上記のような大手企業での傾向が、自分にマッチしてないと思う場合は、中小企業も選択肢に入れて、転職活動をするようにしましょう。
中小企業のメリットは、規模が小さい分、ひとりひとりが複数の業務を兼務するケースもあり、幅広い仕事に携われる可能性があること、実力がありしっかりとした成果を残すことができれば、昇級できるチャンスがあることなどが挙げられます。また、大手企業よりも事業規模は小さくなることもありますが、若くしてプロジェクトを任されたり、チームリーダー的な立ち位置でビジネスを展開できたりする場合もあります。
中小企業に転職するデメリット
中小企業に転職するデメリットのひとつは、従業員数が少ないため、新人を教育するプログラムや研修制度などの体制が整っていないケースが多いことです。
こうした中小企業の中には、現場で働きながら社員を育成する「現場教育」を基本としている企業も少なくはありません。この現場教育が一概に悪いわけではありませんが、業務をしながらではなくきちんと教えてもらいたい、見て覚えるのは苦手という方は、転職先での新人教育がどのように行われているかを確認し、企業を選ぶようにしましょう。


第二新卒が転職先を選ぶ際のポイント
企業の規模以外にも、第二新卒が転職先を選ぶ際に大切にしたい点がいくつかあります。ここでは、「業務内容にあった給料体系になっているか」「成長企業かどうか」などの5つのポイントにフォーカスし、それぞれを詳しく解説します。
業務内容に見合った給与体系になっている
業務の内容に見合った給料体系かどうかは、言うまでもなく会社選びの重要なポイントです。まずは、業務内容に対して、一般的な相場よりも給料が高いか低いかはあらかじめ下調べしておくようにしましょう。相場より低い場合は、従業員満足度が低い会社の可能性が高く、相場より高い場合は、表には見えにくい部分で大きな負担を強いられる可能性が高いケースも考えられます。特に給料があまりにも高い場合には注意が必要です。
もし年収を重視するのであれば、成果によってインセンティブを得られる会社を選ぶのもひとつの方法です。
成長企業である
成長企業とは、利益や事業規模が拡大し続けており、高い成長性が見込める企業のことです。ベンチャー企業や中小企業のなかにも、こうした成長企業は多数あり、新しい人材の採用も積極的に行っている傾向があります。組織全体として目的意識が高く、教育体制もしっかりとしていることが多いのも特徴で、学びながら、明確な目標のもと仕事に取り組みたい第二新卒に向いています。
零細企業は避ける
まだ若く、長期的なキャリア形成も考えるべき第二新卒の場合、一般的に零細企業は避けた方が良いと言われています。零細企業とは、中小企業のなかでも特に規模の小さい企業のことで、給与が上がりにくく、仕事に使用する経費さえも限られてしまうケースも少なくありません。
ただし、零細企業であっても資本金の多い場合、今後将来的に成長が見込める分野に関連している場合、あるいは企業が掲げるビジョンに共感できる場合などは、一概にその限りではありません。そこで自分がどんな働き方ができるのか、どのように成長できるかも考え、選択することが大切です。


福利厚生や労働環境が良い
一般的に、福利厚生や労働環境が良い企業は、長く働きやすい企業だと言えます。第二新卒で転職する際は、その福利厚生や労働環境も重視したいポイントです。特に福利厚生は、従業員のための企業が設けている制度です。雇用保険や健康保険以外に「出産・育児や介護支援制度の有無」「出産・育児や介護支援制度の有無」など、法定外福利厚生があるかも、確認すると良いでしょう。
労働環境については、「残業や休日出勤はどのくらいあるのか」「リモートワークができるか」「職場内のコミュニケーションは良好か」などのポイントが挙げられます。ただ、外からは実情がわかりにくいものだとも言えます。もし可能ならばOB訪問をし、ヒアリングしみるのも良い方法です。また、「残業代や賞与はあるか」「休日、休暇が取りやすい環境か(有給休暇取得率など)」「研修制度の有無」「副業はできるか」などの細かい労働条件も確認しておくと良いでしょう。
長く働くことを前提に考えると、こうした福利厚生や労働環境もしっかりと確認したうえで企業選びをすることが大切です。
大手企業にこだわらない
最後に、転職先を選ぶ際に、大手企業だけにこだわらないことも重要です。大手企業は労働条件や福利厚生が良いことも多く、競争も激しくなります。競争が激しい企業にばかり応募していると当然、転職先が決まらない可能性が高くなります。また、前述したように大手企業への転職はメリットだけではなく、デメリットもあるため、場合によっては中小企業の方が、自分が思い描く働き方ができたり、価値観に合っていたりすることも少なくありません。
つまり、中小企業も幅広くチェックしながら、「自身に合っている会社」を見つけることも大切だということです。大手企業でなくとも、労働条件や福利厚生が自分の希望に合った優良企業に転職できれば、納得できる待遇で、希望のキャリアを築いていくことができます。まずは「自分が希望し、目標とする働き方ができるのは、どのような企業か」という点をきちんと自分のなかで明確にしたうえで、企業をリサーチし、選ぶようにしましょう。
第二新卒の転職では将来性のある優良企業を選びましょう
第二新卒の転職は、自身の将来のビジョン、理想の働き方を考えたうえで、どのような業界、企業を選ぶかが大切です。不安ならば、第二新卒に強い転職サービスPaceBoxに登録して、自分の希望に合った優良企業があるかを探してみましょう。PaceBoxではキャリアアドバイザーによるサポートもあるので、ぜひ活用してください。
