第二新卒で転職を考えている方は、職務経歴書に何を書くべきか悩むかもしれません。採用担当者は何を見て、どんな人材に魅力を感じるのでしょうか。第二新卒の方が職務経歴書を書くときのポイントや、書き方を例文とともに紹介していくので、職務経歴書の書き方に悩んでいる第二新卒の方は、参考にしてみてください。


目次
採用担当者はどこを見る? 第二新卒の職務経歴書を書くポイント
採用担当者は、第二新卒の職務経歴書で自社にどのようなメリットのある人物なのか、活躍できる人材なのかを見極めています。
職務経歴書は、タイトル・日付・名前の下に、以下の項目を順に記載するのが一般的です。
・職務要約
・職務経歴
・活かせる経験・知識・技術
・自己PR(志望動機など)
これらの項目の中で、採用担当者が特に注目しているのは、自己PRです。第二新卒の職務経験は3年以内と浅いため、経験や知識・技術より、ポテンシャルの高さを見ます。やる気はあるか、素直か、積極的に行動できるか、明るい性格かなど、人柄を重視することもあります。
また、職務経歴書の書き方について、自分の魅力が伝わるよう工夫しているか、読みやすい簡潔な文章にまとめているかなども確認しています。独創性や論理的思考力を持ちあわせているかは、直接話すだけでなく文章の組み立て方からも垣間見られるからです。誤字脱字や空欄を避けるのはもちろんのこと、一目で分かりやすいレイアウトにする、分量が多くなり過ぎないようにまとめるなど、見せ方にも留意しましょう。
【例文あり】第二新卒の職務経歴書の書き方
第二新卒の職務経歴書の具体的な書き方を四つの項目別に解説します。営業職を例にして、書き方とともに例文も紹介します。
職務要約
職務要約とは、担当してきた業務の内容を3~5行程度にまとめて書く欄です。業務によって得たスキル、学んだこと、努力してきたことなどのうち、応募先の企業や職務に関連の深いものを簡潔に書きます。
職務要約ではなく、「経歴要約」「職務概要」と記載する場合もあります。
職務要約の例文
営業職の場合、以下のように職務要約を記載できます。どんな会社にいつ入社し、何年勤務したか、経験したことや得たスキル、強みを簡潔に記すことがポイントです。
例1.
2021年4月
株式会社〇〇に入社
スキンケア・ヘアケア商品のメーカーに営業職として約2年間勤務。入社後5ヶ月後までの研修ではビジネス対応のマナー、テレアポ、美容に関する知識を学びました。また、先輩からの指導のもと、実際に美容院や美容サロンへ周りの飛び込み営業も経験し、初対面で好印象を持ってもらう方法を学びました。
例2.
2021年4月より、アパレルメーカー株式会社〇〇に2年間勤務。ビジネスマナー、店舗でのお客様との距離の取り方を学び、入社から1年2ヶ月目にして店舗での売り上げ1位を獲得しました(店舗従業員15名中)。


職務経歴
職務経歴の欄には、最初に企業名、企業の事業内容を記載します。資本金や売上高、従業員数などの細かい企業情報も書きましょう。
さらに、研修の時期や内容、自分の担当していた職務内容、実績、業務にあたるうえで工夫してきたことを記載します。
研修時期、本格的に業務に携わるようになった時期など、時系列に沿って細かく書くのがポイントです。
職務経歴の例文
営業職の場合は、以下のような職務経歴書を書きましょう。
例1.
【事業内容】
企業名:株式会社〇〇
事業内容:化粧品、美容家電などの美容関連商品の企画・開発・販売
資本金:○○○百万円
売上高:○○○百万円
従業員数:300人
【職務経歴詳細】
研修期間:2021年4月入社~2021年9月
・全新入社員で外部のビジネスマナー研修を受ける
・OJTによる社内研修を受ける
・テレアポ研修を受ける
・景表法・薬機法に関する知識研修を受ける
・自社商品への理解を深めるための研修を受ける
ヘアケアアイテム営業部:2021年10月~2023年3月
・テレアポ
・営業訪問
・進捗情報報告書の作成
・請求書の作成
【実績】
2021年 新人営業コンテスト第1位(12人中)
2022年 年間総売上1100万円 平均予算達成率98%
【取り組み】
自社製品を美容院や美容サロンで取り扱ってもらうために、自社製品の強み、ターゲットを研究しました。さらに、営業先候補である店舗の客層をリサーチし、商品ターゲットに合う店舗に限定してテレアポをし、効率的なテレアポで営業先の早期獲得に成功しました。その結果、2件の美容院にて製品の取り扱いが決定し、同期の中で初の売り上げを獲得しました。さらに新人営業コンテストにて1位を獲得しています。
例2.
【事業概要】
企業名:株式会社〇〇
事業内容:人材派遣、人材紹介、再就職支援、HRコンサルティング、教育・研修
資本金:〇〇○万円
売上高:〇億円
従業員数:20,000人(連結・契約社員含む)
【職務経歴詳細】
研修期間:2021年4月入社~2021年10月
・社外の新人教育セミナーによるビジネスマナー研修を受ける
・テレアポマナー研修を受ける
・OJTによる社内研修を受ける
医療人材派遣営業部門に配属:2021年11月~2022年5月
・派遣先医療機関の特色、必要人材の特徴についての研修を受ける
・医療機関ごとへの挨拶回り
・派遣先医療機関新規獲得のための営業研修を受ける
医療人材派遣営業部門に大阪支社に配属:2022年6月~現在
・大阪支社にて派遣先医療機関新規獲得のために、テレアポをおこなう
・既存顧客への挨拶回りを経て、既存顧客からの紹介で他医療機関の紹介を受ける
【実績】
2022年度:2100万円(達成率104%)
【取り組み】
医療機関という特色状、多忙な人、職人肌の顧客が多いため、相手の感情の機微、性格を事細かに観察。人材を派遣するうえで、一番必要な人材の人物像・スキルをヒアリングしました。弊社の抱える人材の強みをアピールし、人材派遣先として新規の医療機関を獲得。毎月1件以上コンスタントに営業先を獲得しています。


活かせる経験・知識・スキル
活かせる経験や知識、スキルの欄では、取得した資格や免許を記載します。国家資格や事業に役立ちそうな資格・語学スキルやPCスキルなどを記入してください。
もし書ける資格がなければ、業務に直接関連はないスキルや「現在〇〇の資格を勉強中で、○ヶ月後には試験を受ける予定」といった内容を書くのもおすすめです。ただし、業務に直接関連のなさそうなスキルを記載する場合は、面接に備え、関連付けられるような説明をできるようにしておきましょう。
活かせる経験・知識・スキルの例文
以下は営業職の場合の例文です。
【活かせる経験・知識・スキル】
資格
・マイクロソフトオフィススペシャリスト(2022年5月)
・TOEIC(○○点、2021年6月)
・普通自動車第一種運転免許(2019年3月)
語学スキル
・英語でのメール文書作成
・日常的な英会話
PCスキル
Word(資料作成)
Excel(グラフ作成・vlookup関数)
PowerPoint(アニメーションを使用したプレゼン資料の作成)
営業職ではデータを扱ったり、営業の結果を集計したり、営業先にプレゼンをしたりする必要があるため、Word・Excel・PowerPointなどのパソコンスキルがあると好印象です。
また語学スキルが必要な業種であれば、TOEICの点数を記載するなど、どの程度の語学力があるのかを書きましょう。
自己PR(志望動機)
自己PRはいわゆる志望動機や自分の魅力、いかに企業にとって有益な人間なのかをアピールする欄です。具体的なエピソードを交え、エピソードの結論としてどんな成果をあげられたのかを書きます。
すでに前職を退職しているなら、自己PRで転職理由に触れ、好印象を持ってもらえる表現で理由を説明しましょう。前職のマイナス面を理由として述べるのではなく、「前職で○○に取り組むうちに、××への関心が高まり、御社で××の仕事をしてみたいと考えるようになりました。」など、積極的な内容にするのがポイントです。
自己PRの例文
私の強みは粘り強さとリサーチ力、分析能力の3つです。
【粘り強く続ける力】
自社製品であるヘアアイロンやカールアイロン、スタイリング剤を美容院にて取り扱ってもらうべく、飛び込み営業をしました。美容院は夕方や休日が忙しいため、午前中を狙い訪問。まずは簡単な挨拶から始め、コツコツとお顔を出すようなイメージで週に1回通い、ときには前を通りかかって軽く会釈をする程度の挨拶をおこない、馴染めるよう努力しました。
その結果、自社製品のパンフレットやチラシを自然に受け取ってくれるようになり、先方から連絡をくれるようになるというパターンが増えました。2ヶ月目にして新人の中で1番早く契約を獲得。粘り強く根気をもって足を運ぶ大切さを知り、やりがいを感じました。
【リサーチ力】
粘り強く営業を続けるために営業周りの挨拶で、毎回少しずつ営業先にヒアリングをしました。困っていることは何か、ヘアケア・スタイリングアイテムに求めていることは何か、今日はどんなことがあったのかなどの世間話まで、5分や10分の短時間の会話で毎回ヒアリングをしました。
さらに、営業先に来ているお客様の客層もさりげなく確認。得た情報を活かして営業のアプローチ方法を研究しました。
【分析を活かした提案】
リサーチによって得た情報を洗い出し、美容院のニーズ、美容院のお客様の経済状況なども想定し、どの製品をアピールするべきか分析しました。
例えばある美容院では、お客様に対して積極的な営業をするのは控えたいものの、利益は欲しいとのことでした。客層は10~20代と若く、富裕層ではなかったため、手の届きやすい価格帯でありながら品質の良い商品をアピール。お客様が自宅でスタイリングできるように、美容院にスタイリングブース設置を提案。ブースでは自社製品を設置し、希望するお客様に対してスタイリストからスタイリング方法を教えてもらえるスタイルを確立しました。その結果、製品を良いと感じてもらえた方に買ってもらえるようになりました。
リサーチによって得た情報を分析しニーズを明確にすることで新たな提案ができたことは、私の大きな強みとなっています。
貴社はこれまでの業種とは異なるものの、ターゲットやニーズをリサーチ・分析する力、そしてそれを売ることのできる粘り強さは、御社でも役に立てると思います。私は、御社の〇〇製品を長く愛用しており、より多くの人に使ってもらいたいと考えています。今までの経験をフルに活用し、御社に貢献したいと考えております。


【業種別】 第二新卒が職務経歴書でアピールすべきポイントの例
第二新卒が職務経歴書でアピールすべきポイントを、事務職・営業職・エンジニア職(IT)の3種に分けて紹介していきます。
事務職は、PCスキルや適性をアピール
これまでの職務で、PCスキルを培ってきていたならば、それを中心にアピールするのがおすすめです。資格のほか、使えるソフトと何ができるか(Excelでマクロを使用など)を記載します。ほかにも1時間に何文字打てるのか、タイピング能力のアピールも重要です。
もし資格がないとしても、日々コツコツ業務を遂行できる人物であることを伝えましょう。ルーティン作業をミスなくこなせること、不備があったとしてもすぐに修正する性格であることが分かるように記載してください。
営業職は、習得済みのビジネスマナーを示す
営業職の場合、習得済みのビジネスマナーを細かく示しましょう。例えば、以下のようなものを挙げると良いでしょう。
・名刺交換マナー
・来客時の対応方法
・電話対応の方法
また、人と接する職種であるため、コミュニケーション能力のアピールも重要です。以下のように気をつけていることを細かく挙げるのがポイントとなります。
・相手の目を見て話す
・相手の空気感やテンション、声の大きさにあわせて接する
エンジニア職(IT)は、保有スキルを具体的に記載
SE(システムエンジニア)などのITエンジニアへの転職を目指すのであれば、以下のような資格を保有しアピールしましょう。
・基本情報技術者
・応用情報技術者
また、使用してきたシステムやソフト、言語などを具体的に記載することで、何ができるのかを明確に示します。
特にアピールできる資格や経験がないときは、コツコツと長時間作業を続けられる根気強さがあると伝えましょう。ときにはエラーをひたすら修復する作業も出てくる職種なので、細かな作業を長時間できることは強みとなります。


第二新卒の職務経歴書に書くことがないときの対処法
第二新卒の場合、社会経験が少ないことから、職務経歴書に書く内容が見つからない人もいるでしょう。ここでは、職務経歴書に書くことがないときの対処法を三つ紹介します。
書くことに困っても「職歴なし」にするのはNG
第二新卒で職務経歴書に書くことが少なくても、「職歴なし」と書くのは控えましょう。
例え半年で辞めてしまった企業だとしても、実績をアピールするようなポイントがなかったとしても、就労経験があることを伝えることが重要です。仮にアルバイト経験であっても記載するとよいでしょう。
業務を通じて成長した点を実績としてアピール
書ける実績が少ないと思ったとしても、業務を通じて成長した点をアピールしましょう。どのような意識で業務へ携わっていたのか、自分なりに努力したことを書きます。例えば、以下のような点を記載できます。
・グループ研修で、少しでも利益を上げるために何をするべきかをグループで話し合い発表した、研修監督によく練られた計画だと褒められた
・ビジネスマナー研修で、電話対応がいいと言われた
・営業先に「いつも気持ちのいい挨拶をしてくれるね」と言われた
まずは、少しでも褒められたこと、意識していたことを箇条書きで書き出し、文章にしていきましょう。
3つ目の営業先に挨拶を褒められた点を文章にしてみると、以下になります。
「営業先へ訪問するときは、必ず笑顔で元気に挨拶することを心がけていました。毎回それを続けていくと、「〇〇さんはいつも気持ちのいい挨拶をしてくれるね」と言われました。相手に自分を印象付けるためにしていたことでしたが、お客様を爽やかな気持ちにできたことは、自分にとっても大きな喜びになる経験でした。」
就労していない空白期間は自己PRで埋める
就労していない期間があるのなら、自己PRを充実させましょう。
学生時代の話にさかのぼっても構いません。趣味の話やボランティア活動の経験、独学で勉強して得た資格の勉強方法などをアピールするのがポイントです。さらにそれを活かして自分には何ができるのかを書きましょう。
例えば以下のように記載します。
「学生時代、老人ホームなどの介護施設でボランティア活動をしていました。自分の祖母がその老人ホームへ入所していたことがきっかけでしたが、最初は表情の乏しかった高齢者の方が自分と接することで明るい顔になったり、よく笑うようになったりしたのが印象に残っています。自分の存在を楽しみに待ってくれていることが分かり、人に喜びを与えることの嬉しさを知りました。」


Q&Aで解決! 第二新卒の職務経歴書に関するよくある質問
最後に、第二新卒の職務経歴書に関するよくある質問に答えていきます。
第二新卒の職務経歴書の書き方は?
第二新卒が職務経歴書を書くときは以下の四つの項目を中心に書いていきます。
・職務要約
・職務経歴
・活かせる経験・知識・技術
・自己PR(志望動機など)
採用担当者は、実績よりもポテンシャルの高さに注目しているため、特に重要なのは自己PRの項目です。
明るい性格である、人を喜ばせるのが得意、人の話を聞くのが好きなのでコミュニケーションに自信がある、ビジネスマナーを研修でしっかり学んだなど、性格や基礎的なスキルの部分をアピールしましょう。実際のエピソードを交えて記載するのがポイントです。
第二新卒の職務経歴書は何枚書けばいい?
第二新卒の職務経歴書は1~2枚程度に書き納めましょう。3枚以上になると、採用担当者が目を通すのに時間がかかるためです。
第二新卒でありながら3枚以上になる場合は、要点をうまくまとめられず、長々と記載している可能性が高いでしょう。アピールしたいことが多くあったとしても、簡潔に分かりやすくまとめるのが重要です。
既卒の職務経歴書の書き方は?
既卒の場合、アルバイトやインターン経験を職務経歴書に記載します。「正社員経験がないと記載してはいけないのでは?」と考えがちですが、採用担当者は学校卒業後の空白期間に何をやっていたのかが気になります。
そのため、学生の頃からしていたアルバイト、インターンの経験を記載しましょう。例えば、アルバイトであれば以下のように書きます。
2018年4月~現在
〇〇レストランに約5年勤務しています。学生の頃からアルバイトを始め、現在はアルバイトのシフトを組んだり、新人アルバイトへの簡単な研修、指導をおこなったりしています。ホールでのお客様対応のポイントや効率よく片付ける方法を伝えるのが得意です。相手を褒めながら指導をすると仕事を覚えてもらいやすくなるため、できるようになったことは小さなことでも必ず褒めるようにしています。
第二新卒の職務経歴書は、実績よりもポテンシャルをアピールしよう
第二新卒の方が職務経歴書を書く場合、一番重要な項目は自己PR欄です。社会経験が少ないため、採用担当者は実績よりポテンシャルの高さを見ています。
もし、職務経歴書の書き方に不安があるなら、キャリアアドバイザーに相談してみましょう。あなたにさまざまな質問をして、人柄や魅力を的確に職務経歴書に落とし込めるよう助けてくれます。
