「転職時の最終面接=ほぼ合格」と思い込む人がいるようです。本記事では、本当にほぼ合格なのか、最終面接の役割や種類、一次・二次面接との違いなどを紹介します。
転職の最終面接で合格する人の特徴や成功させるための4つのポイントもあわせて確認しておきましょう。


目次
転職する際の最終面接=ほぼ内定(合格)は本当?

転職する際に、「最終面接まで行けたのあれば、ほぼ内定がもらえるだろう・ほぼ合格だろう」と考える人がいるようです。しかし、実際には「最終面接=ほぼ内定」とは限りません。最終面接まで進めたからといって、「ほぼ合格」だと油断してしまわないように気をつけましょう。
転職の際の最終面接がほぼ合格とは限らない理由や、最終面接での合格率について、それぞれ解説します。
最終面接=合格とは限らない
一次・二次面接などを突破して最終面接までいけたとしても、まだ企業から内定を得ているわけではありません。つまり、最終面接後に不採用の連絡をもらうのはありえることであり、「最終面接=ほぼ合格」とは限らないのです。
最終面接までいける人数は少ないとはいえ、まだまだ多くのライバルがいるかもしれません。さらには、最終面接を通過したとしても、その後、選考通過者の評価などを総合的に判断し、その結果、内定をもらえないケースもあります。
なかには、最終面接まで進めたことで、「これならばほぼ合格だろう」と油断してしまい、態度を変える応募者がいます。例えば、一次・二次面接では謙虚な姿勢を見せていたものの、最終面接では選ぶ側として、年収などの条件交渉をしてしまうケースです。企業側から見ると、人柄の不安を感じる要素になりかねないため、注意しましょう。
また、「ほぼ合格だ」と安心し、内定が出る前に他社を辞退する応募者もいます。複数の企業との比較をするためにも、内定が出るまでは他社は辞退しないほうが良いでしょう。
企業によって最終面接の合格率は異なる
最終面接までいけた場合の合格率は、企業によって異なります。最終面接では採用判断に強い影響力を持っている、社長や役員、人事部長、現場責任者といったような役職者が担当するケースが多いです。
そのため、最終面接にいたるまでの選考の評価が良かったとしても、最終決定権がある人が「当社とはあわない」と判断すれば、内定が出ないことも十分に考えられるでしょう。
最終面接に経営層が参加している場合には、採用予定の人材と採用にかかるコストとの兼ね合いだけでなく、アウトソーシングをした場合との比較まで考えて判断することもあります。状況によっては、採用自体を見送るケースもあるでしょう。
このように、最終面接には採用判断に強い影響力を持つ役職者が登場して、さまざまな面から見極められていることが多いです。「最終面接までいけば合格率が高いはず」と思い込まず、入社意思の高さや自分の有用性などを理解してもらえるように、最後まで取り組みましょう。


転職時の最終面接の役割

転職時における最終面接の役割は、大きく分けると以下のとおりです。
- 志望する度合いのチェック
- 会社へ貢献できる人材であるかどうかの確認
また企業によっては、社長や役員、人事部長、現場責任者などの役職者との顔合わせのような役割として、最終面接を実施している場合もあります。このように、企業によっても最終面接の役割は異なります。
それでは、転職時における最終面接の役割を確認していきましょう。
志望する度合いをチェック
最終面接の役割の1つが、志望する度合いのチェックです。志望する度合いの確認は、入社後のミスマッチを防ぐために行われています。つまり、最終面接では「本当に入社したいかどうか」という志望度の高さや熱意を確認しているのです。
例えば、「当社に応募した志望動機は何ですか?」といった質問で、自社のどの部分に魅力を感じ、どう貢献していきたいと考えているのかをチェックすることで、志望の高さを判断しています。
また、応募者が企業の考え方に共感しているなど、自社のビジョンやミッション、クレド(企業活動が拠り所とする価値観・行動規範のこと)とマッチする人物かどうかも確認しています。
会社へ貢献できる人材であるかどうかの確認
会社へ貢献できる人材であるかどうかを確認することも、最終面接の役割の1つです。転職は特に即戦力が求められるため、会社に貢献できる人材であるかどうかを確認します。
一般的に、一次面接や二次面接では現場の即戦力になれるかどうかを判断しています。つまり、最終面接は、スキルや技術に関する合格ラインは超えていることが前提なのです。そのうえで、会社が抱える課題の解決にどのように貢献できるのか、採用によって企業の利益になるかどうかなどを判断し、最終的な意思決定をする場が最終面接だといえるでしょう。
最終面接の2つの種類

最終面接には、大きく分けると「顔合わせ型」と「最終選考型」の2つの種類があります。それぞれの種類の違いは、以下のとおりです。
- 顔合わせ型……採用を前提とした話し合いをおこなうもの
- 最終選考型……最終面接に残った複数のライバルのなかから採用者を絞り込むもの
ただし、実際には顔合わせ型の最終面接となるケースはあまりないようです。それでは、最終面接の2つの種類について詳しく説明します。
1.顔合わせ型
最終面接の種類の1つが、採用を前提とした顔合わせや話し合いをおこなうタイプです。先述のとおり、最終面接は社長や役員といった、採用判断に強い影響力を持っている人が直接面接官を担当していることが多いです。特に顔合わせ型は、社長や役員クラスが最終面接を担当しています。
顔合わせのような意味合いで最終面接を実施している企業であれば、「最終面接までいければほぼ合格」と考えることもあながち間違いではありません。現場の担当者が下した判断を信頼し、口を出さないようにしている場合には、顔合わせや話し合いのみとなるケースがあるためです。
しかし、社長や役員から見て、自社に合っていると感じるかどうかは重要な評価基準でもあります。そのため、どれほどの経歴があり活躍できそうなスキルを持つ人材であっても、自社に合わないと判断されれば、顔合わせ型の面接であっても落とされる可能性はあるでしょう。顔合わせ型の最終面接では、多忙な役員クラスの人が対応しているため、比較的、短時間で終わるケースが多いです。
2.最終選考型
最終面接の種類には、最終選考型もあります。顔合わせ型よりも最終選考型のほうが実施される割合が高く、よりしっかりとした選考となることが特徴です。最終選考型は、複数名の候補者のなかから採用者を絞り込む目的で行われます。社長や役員、現場責任者、人事担当者など面接官が複数人いる状態で、じっくりと時間をかけて面接していきます。
最終選考型の面接であっても、質問されることはこれまでの職務経歴や将来のキャリアプランなど、一次面接や二次面接で聞かれていたような内容です。
ただし、社長や役員などが転職者に問う内容は、抽象度が高い傾向にあるため、求められる答えを導き出す難易度が高いともいわれています。「将来的に組織の中枢を担ってもらえるかどうか」をイメージしながら質問されていることを理解し、最後まで気を抜かずに対応しましょう。


一次・二次面接と最終面接の違い

一次・二次面接と最終面接は、面接の担当者や確認されることが異なります。なかには、企業によっては一次面接・二次面接・最終面接といったように分けず、1回のみ面接を実施しているケースもあります。例えば、応募者に早く働いてほしい場合や企業の規模がそこまで大きくない場合、選考プロセスを短縮している場合などです。
この場合、社長や役員、人事担当者、現場の責任者など、複数の面接担当者が質問や評価をおこなうケースが多いようです。しかし、一次・二次面接・最終面接と進むケースの方が一般的でしょう。一次・二次面接と最終面接の特徴を確認し、それぞれの違いを解説します。
一次・二次面接の特徴
一次面接や二次面接の特徴は、大きく分けると以下のとおりです。
- 人事・業務担当者が面接をする
- 総合的な人物評価が行われる
- 即戦力となる経験・スキルを持っているかを確認される
一次面接・二次面接と最終面接では、面接の担当者が異なります。また、それぞれで注目されている判断ポイントも異なるため、一次面接・二次面接と最終面接では質問の仕方が違うことに気をつけましょう。
人事・業務担当者が面接をする
一次面接・二次面接は、基本的に人事担当者や業務担当者が面接を担当します。それぞれの面接で担当者が変わります。一次面接の面接担当者は人事担当者のケースが多く、二次面接は実際の業務に関わる配属予定部門の責任者や業務担当者になることが多いようです。それぞれの面接の担当者が違うため、一次面接と二次面接で評価者の評価ポイントも異なります。
総合的な人物評価が行われる
一次面接・二次面接では、総合的な人物評価も行われます。「配属予定チームのメンバーとうまくやっていけそうか」「社風にマッチしているか」といった視点から、採用した場合、自社に長く勤めてくれそうな人材かどうかを判断しているのです。
一次面接が最終面接となる場合には、より多面的な質問によって総合的な人物評価が行われます。確認されるのは、コミュニケーション能力を含むヒューマンスキルや総合的な人間性、価値観などです。
即戦力となる経験・スキルを持っているかを確認される
転職者を対象としている一次面接・二次面接では、現場の視点から「採用した場合に早期から活躍してもらえるかどうか」をチェックしています。重視されるのは、以下のようなポイントです。
- 即戦力となり得るような経験・スキルを持っているか
- 自社の業務に素早く対応できそうか
- チームとして部署に馴染んでくれそうな人物か
- 一緒に働いてみたいと思えるか
特に、二次面接は実際の業務に関わる業務責任者が面接官となるケースが多いため、具体的な職務経歴や将来のキャリアプランなどを深掘りされやすいです。
最終面接の特徴
最終面接は、以下のような特徴があります。
- 現場責任者や社長、役員などが面接をする
- 会社の社風に合うかどうかを確認される
- 中長期的に会社の利益や成長に貢献してくれるかを確認される
一度しか面接をしない会社を除き、最終面接の段階ではすでに数回自社社員が面接をしているため、応募者の詳しい情報がわかっている状態です。最終面接では、一次面接や二次面接のように細かいスキル面の質問は少ないでしょう。なかには、面接担当者によっては言葉遣いや立ち居振る舞いなどのビジネスマナーを重視する場合もあるようです。
一次面接や二次面接とどのように違うのか、最終面接の特徴を解説します。
現場責任者が面接をする
最終面接では、現場責任者や社長、役員などが面接官を担当します。最終面接の担当者が複数の場合には、そのなかで職責が高い相手が、大きな影響力を持つキーマンです。面接官として社長がきていた場合には、社長がキーマンだといえます。
もちろん面接官全員から好印象を持たれたほうが良いでしょう。しかし、最終面接で合格に近付くためには、そのなかでもキーマンとなる人を意識しながら受け答えすることをおすすめします。
会社の社風に合うかどうかを確認される
最終面接では、自社の「理念」「パーパス」「ミッション・ビジョン・バリュー」への理解や共感があり、社風に合う人材かどうかを確認されます。また、中長期的な視点から判断するため、「配属予定の部署やチームのメンバーとうまくやっていけるかどうか」だけではなく、「企業全体の風土や価値観に合っているかどうか」も重要なポイントです。
面接官が納得感や期待感が持てない場合には、採用見送りとなってしまうケースがあります。
中長期的に会社の利益や成長に貢献してくれるかを確認される
転職の際の最終面接では、中長期的な視点から「会社の利益や成長に貢献してくれるかどうか」も確認されます。転職者を対象とした中途採用を行っている企業では、ほとんどの場合で長く会社で働いて活躍してくれるような人材を求めているものです。
将来的には社内の中心メンバーとなって、事業を発展させられるような将来性のある人材だと評価してもらえれば、採用をもらいやすくなります。


転職の最終面接で合格する人の特徴とは

転職の最終面接で合格する人の特徴は、「入社意欲が高い人」「求める人物像や社風にマッチしている人」などです。また、「論理的に会話ができる人」も最終面接に合格しやすいでしょう。
一方で、「二次面接までの評価とギャップがある人」「入社意欲をアピールできなかった人」「最終面接で待遇面や福利厚生面を気にしてしまう人」は、不合格となりやすいです。
それでは、転職の最終面接で合格する人の特徴をそれぞれチェックしていきましょう。
入社意欲が高い
企業側が「入社意欲が高い」と感じた人は、最終面接で合格しやすいでしょう。なぜなら、第二・第三志望として受けている相手よりも、自社を第一希望にしてくれている人に内定を出したいと考えているからです。
「なぜ応募先企業でなければいけないのか」を伝えられるような志望動機を考えておくと、合格に近付けるでしょう。
求める人物像や社風にマッチしている
企業が求める人物像や社風にマッチしている人も、転職の最終面接で合格しやすいです。応募先の企業で働いている人は、求める人物像や社風にマッチしていると考えられます。面接官が「〇〇課の〇〇に似ているな」などと思えるくらい、自社で働く姿をイメージしてもらえるように、求人情報から企業が求める人物像を読み込んでおきましょう。
転職の最終面接を成功させるための4つのポイント

転職の最終面接を成功させるためのポイントは、大きく分けると以下のとおりです。
- 企業の最新情報を把握しておく
- これまでの経験や実績を深く掘り下げる
- 将来のビジョンを明確にする
- 逆質問を考えておく
また、一次面接や二次面接でうまく回答できなかった質問には、考えを整理しなおして改善につなげましょう。それでは、転職の最終面接で合格するためのポイントについて、それぞれチェックしていきましょう。
1.企業の最新情報を把握しておく
転職の最終面接を成功に導くためには、応募先企業の最新情報の把握が欠かせません。コーポレートサイトや企業のブログ記事、SNSなど、インターネットを駆使して検索できる情報を仕入れ、企業研究を念入りにおこなうと良いでしょう。
特に、自身が応募したのが上位ポジションであればあるほど、企業の方向性をしっかりと把握しておくことが重要です。情報ページがある場合には十分に確認し、応募先の企業が目指す方向性を理解しておきましょう。応募時に確認していても、最終面接までいく間に情報が更新されている場合があるため、チェックし直すことをおすすめします。
情報を仕入れておくことで、逆質問の際にも役立ちます。また、社長にまつわるエピソードや経営層の取材記事、ニュース記事などを確認しておけば、最終面接でのキーマンとなるかもしれない相手の人となりを事前に把握可能です。
2.これまでの経験や実績を深く掘り下げる
最終面接の前に、あらためてこれまでの経験や実績を深く掘り下げておくこともポイントです。経験や実績を元に志望動機や自己PRを答えられるようにあらためて練りなおし、一次面接・二次面接よりも深く掘り下げた質問をされても、対応できる状態にしておくことが大切です。
一次面接・二次面接の受け答えよりも全体を俯瞰した具体的なビジョンを話せるように、イメージを膨らませておくとなお良いでしょう。例えば、「この業務で自分のスキルが活かせる」という自己PRをしていた場合には、「このような実績をもとに、事業部をこのように改善していける」と伝えられるように準備することをおすすめします。
また、最終面接では人間性や価値観といった、総合的な人間評価がなされることがよくあります。「長期的に活躍してもらえそうか」「上司や同僚とうまくやれそうか」などをチェックされているため、「一緒に働きたい」と思ってもらえる人物像をアピールできるようにあわせて対策しましょう。総合的な人間評価では、コミュニケーション力・協調性・仕事への価値観・行動力・ストレス耐性などが確認されます。
3.将来のビジョンを明確にする
キャリアプランや将来のビジョンを明確にことも、転職の最終面接を成功させるためのポイントの1つです。最終面接では、「どのような人材なのか」を見極めるために、その人のキャリアプランやビジョンを確認されることがよくあります。
キャリアプランなどの質問では、「自分の10年後をどれほどしっかりとイメージして語れるか」が評価のポイントです。行き当たりばったりだと思われてしまわないように、具体的に将来のビジョンを語れるような状態にしておきましょう。
また、面接官を務める相手によっても、将来のビジョンとして求めている内容が異なります。配属予定の現場の上司は3~5年ほどのスパンを考えて、業務のパフォーマンスやリーダーシップなどを見ている場合が多いです。しかし社長や役員の場合、少なくとも10年は働いてほしいと考えており、長期的なキャリアビジョンを面接で確認している傾向があります。同じような将来に関する質問でも、質問者によって聞いている意図が違うことに注意しておきましょう。
4.逆質問を考えておく
転職の最終面接を成功させるためには、逆質問を考えておくことも重要なポイントの1つです。逆質問では、「企業研究をしたかどうか」や「志望意欲」を問われます。
そのため、逆質問で尋ねる内容をしっかりと用意しておくことが大切です。なんとなく疑問に思ったことを質問したり、「特にありません」という回答をしたりすることのないようにしましょう。
逆質問は、企業全体にまつわることや、社長自身のキャリアに関する内容がおすすめです。インターネットで確認できることや会社説明会で聞けるような内容では、企業研究が薄いという印象を与える可能性があるため注意してください。


転職の最終面接はしっかりと対策しておこう!

転職する際に、「最終面接まで行けたならばほぼ合格だろう」と考える人がいるようですが、実際には「最終面接=ほぼ内定」とは限りません。最終面接まで進めたからといって、「ほぼ合格」だと油断してしまわないように気をつけましょう。
最終面接には、大きく分けると「顔合わせ型」と「最終選考型」の2つの種類があります。一次・二次面接と最終面接の違いや転職の最終面接で合格する人の特徴、成功させるためのポイントなどをチェックして、しっかりと対策してから最終面接にのぞみましょう。
