未経験可の仕事を探していると出会うことの多いであろう「テレアポ」の求人。募集要項にはしばしば比較的高い時給が提示されているため、興味を持つ人も少なくないでしょう。
しかし、実際にどのような仕事なのか、自分に向いている職種なのかなど、詳細を把握していない人もいるはずです。今回は、一般的にテレアポと呼ばれる仕事の具体的な内容やメリット・デメリット、向いている人の特徴などを解説します。


目次
テレアポとは?
テレアポは「テレフォンアポインター」の略称です。コールセンターで、用意されたリストをチェックし順番に電話をかけていき、顧客への営業を行います。担う業務は電話に出た相手への商品の説明・提案と、それを元にした対面営業のための訪問や商談の約束の取り付けです。主に新規顧客の開拓が目的であると認識しておいて問題ありません。
詳細な目的は企業ごとに少しずつ異なるものの、これまで自社商品と接点のなかった人や企業と自社とをつなげる役割を主に担います。テレアポは資格や経験がなくても従事可能な職種です。そのため未経験者でも応募でき、実際に携わりやすい職種といえます。
テレマーケティングやインサイドセールスとの違い
同様に電話で営業を行う職種に、テレマーケティングやインサイドセールスがあります。ここでは、テレアポとそれらほかの職種との違いを解説します。
テレマーケティングとの違い
テレマーケティングも、電話を通じて顧客に直接アプローチする営業方法です。テレアポもテレマーケティングの一つといえます。テレマーケティングは、さらにインバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングに分類が可能です。
広告やダイレクトメールを見た顧客側から企業へとかけてきた電話を受け、それをきっかけに営業へとつなげる手法がインバウンドマーケティングです。
一方のアウトバウンドマーケティングは、企業側から顧客へと電話をかけます。テレマーケティングとテレアポの大きな違いは、その目的にあります。
テレアポの主な目的は説明したように新規顧客の獲得です。それに対し、テレマーケティングは基本的に既存の顧客を対象に営業が行われます。また、テレマーケティングは顧客のニーズを探ることに重点をおく点もテレアポとの違いです。
インサイドセールスとの違い
まったく接点のない消費者に対して営業が行われるテレアポとは違い、インサイドセールスは見込み顧客へ対面せずに営業活動を行います。ある程度購入の可能性がある個人や企業に対しての営業活動となる点で、この両者は異なります。
営業の手段は電話に限定されず、メールやWeb会議ツールなどが活用されるケースもあります。こうした目的やターゲットの違いから、質か量かの違いが生まれる点も重要です。テレアポはリストに沿って電話をかけるため量が重視されます。その中から見込み顧客を発見し、自社商品の購入や契約へとつなげるきっかけを作らなければなりません。
インサイドセールスは、見込み顧客からの情報収集や潜在ニーズの発見に重きをおき、それをもとにしばしば顧客の育成も行われます。つまり、求められるのは量よりも質です。


仕事の流れは?
テレアポの仕事の流れは、企業向けと個人向けとで少々異なります。企業向けのテレアポは、顧客リストの作成後、リストに挙げられた企業へと電話をかけていきます。受付や事務職が電話に出ることが多いため、そこから担当者への取り次ぎを依頼しなければなりません。担当者へとつながったら、自社商品の具体的な説明や提案を行います。
その際、適切な商品提案を行うことを目的として、しばしば相手企業の持つ悩みや課題を聞き出す作業が行われます。電話での営業をクロージングし、興味を示した企業があれば訪問や商談のアポイントメントを取り付けて電話を切るところまでがテレアポの業務です。その結果をもとに、自社の営業担当者がアポイントメントの内容に沿って、相手企業を訪問し商談へと入ります。
個人向けのテレアポも、最初はリストの作成が行われます。リストに挙げられた主に一般家庭へと電話をかけ、商品やサービスの説明・提案を実施。一通り説明し終わったらクロージングへと入り、興味を示した家庭に対してはアポイントメントを取り付けます。企業へのテレアポ同様に、自社の営業担当者がアポイントメントの内容に沿って家庭を訪問し商談を行います。
企業・個人問わず、実際にテレアポが行う仕事内容は、リストに挙げられた企業や家庭へと電話をかけアポイントメントを取り付けるまでです。
リストの作成やアポイントを取り付けた企業や家庭への直接訪問は別の専門職の人が行うため、テレアポの業務範囲には含まれません。ただ、企業によっては営業職の業務の一環としてテレアポの作業も任せるケースがあります。
テレアポをして働くメリットとデメリット
次に、テレアポの仕事に従事することのメリットとデメリットを解説します。
テレアポをして働くメリット
テレアポは、基本的にはオフィス内に用意されたデスクで電話をかける作業を繰り返します。長時間勤務すると人によっては腰や背中などに負担を感じる可能性もありますが、座って作業できるため身体的には比較的楽な仕事に感じるはずです。
電話の相手から自分の姿は見えず、電話口で正しい受け答えや決められた商品の説明・提案ができればよいので、髪型や服装を自由としている企業も少なくありません。
時給などの基本給のほかに、アポイントメントの獲得数に応じてインセンティブが支払われるなど歩合給を設けている企業も多々あります。頑張りが給料に反映されるため、人によっては他の職種と比べて高収入を得やすい点がメリットです。
電話での営業は対面でのセールス以上にビジネスマナーや話し方が重要視されます。相手から表情や仕草が見えないためです。正しい営業ができ電話先の相手に失礼にならないよう、
また、イメージを損なわないよう多くの企業が事前の研修を入念に行っています。ビジネスマナーやビジネスで活用可能な話し方のスキルも身につけられるでしょう。
好きな時間帯を選んで働きやすい点もテレアポのメリットです。多くの企業では、時間帯だけではなく働く曜日も選択できます。企業や雇用形態によって多少の違いはあるものの、ワークライフバランスを重視する人でも従事しやすいはずです。勤務時間や勤務日数の厳しくない企業であれば、副業としての従事も難しくはありません。
テレアポをして働くデメリット
多くの企業では、テレアポの仕事にノルマを設定しています。設定された件数をクリアできなければ、精神的に落ち込む可能性はあるでしょう。特に責任感の強い人は要注意です。ノルマや目標が設定されていたとしても、未達成の場合の罰則が設けられているケースはほとんどありません。
ノルマ達成の際にインセンティブが得られるパターンが多いため、プレッシャーや責任を感じすぎない意識が大切です。
電話をかけても担当者に取り次いでもらえなかったり商品説明の途中で切られたりすることも多く、強い口調で文句を言われることもあります。これも精神的なダメージへとつながる人がいるはずです。
しかし、このようなケースに出くわしたとしても、決して自分の価値や存在を否定されたととらえる必要はありません。テレアポは相手の都合を考えずに電話をかける仕事です。断られたり怒られたり文句を言われたりすることは、電話をかけた人の責任ではないと理解する必要があります。
テレアポは断られるのが当然であり、話をしっかりと聞いてもらいアポイントメントが取れる方がむしろ珍しいと認識しておきましょう。
テレアポの業務は、リストに沿って電話をかけることの繰り返しです。単純作業となりがちなため、人によっては飽きてしまう可能性があります。飽きずに仕事を続けるには、自分なりの目標を立てて取り組む姿勢も重要です。
アポイントメントの獲得件数だけではなく、言い間違えることなく商品説明をする、声のトーンやテンポを一定に保つなど、個人的な目標を設定しても構いません。それらが達成できたら自分を褒めるなどすれば、テレアポの仕事も楽しく感じられるのではないでしょうか。


テレアポに向いている人と向いていない人
次に、テレアポの仕事に向いている人と向いていない人の特徴を解説します。
テレアポに向いている人の特徴
人と話すことが好きな人は、テレアポの仕事に向いています。テレアポは基本的に対人の仕事です。マニュアルに書かれていない対応をしなければならないケースも少なくありません。臨機応変に対応可能な、コミュニケーション能力の高い人は特に向いています。適度に気を抜ける人も働きやすいはずです。やる気は重要な要素ですが、気持ちの切り替えができ深く考えすぎない性格の持ち主はテレアポに向いているでしょう。
ノルマを達成することで基本給以外のインセンティブが受け取れる企業や、獲得したアポイントメント数に応じて歩合制で給与を決定している企業の多い業界です。稼ぎたい気持ちが強く稼ぐための努力を惜しまない人は、テレアポには非常に向いた性格を持っているといえます。
テレアポに向いていない人の特徴
マニュアルが用意されているとはいえ、テレアポは見知らぬ人と話すこと自体が仕事の中心です。人との会話が苦手な人は、基本的に向いていません。生真面目で気持ちの切り替えが苦手な人も難しいでしょう。電話をかける相手には、さまざまなタイプの人がいます。営業電話を歓迎しない人も存在し、相手の感情次第で怒鳴られることも珍しくはありません。
毎日大量の電話をかけるテレアポは、何かあるたびに落ち込んでいると続けるのが難しくなる仕事でもあります。この仕事の特性から、同じ作業を毎日繰り返すルーティンワークが苦手な人も苦痛に感じてしまうはずです。
電話相手のニーズや気持ちを感じ取る能力や努力も、テレアポには求められます。相手の話を聞けない人は話を進めるべきか、それとも引くべきかの判断が適切に行えないため、この仕事にはあまり向いてはいません。
相手の態度によってこちらも態度を変えるようなタイプ、特に不機嫌になりやすい感情的なタイプもテレアポには適さないでしょう。
テレアポの成功率を上げるコツ5選
テレアポの成功率を上げるには、いくつかのコツを押さえる必要があります。主なコツを5つ厳選して解説しましょう。
事前調査をしておく
電話をかける相手についての事前のリサーチは成功率アップにつながります。忙しい時間帯が把握できれば、相手に出てもらいやすいタイミングで電話をかけられるでしょう。ニーズや興味の程度が把握できれば無駄なトークも避けられ、相手に合わせた内容で話せます。
また、自分が紹介・提案する商品情報の把握や理解も重要です。電話はあくまでもアポイントメントの獲得が目的ですが、商品の特徴や強みの理解が乏しければアポイントメントの獲得すらままなりません。相手に強い興味を抱いてもらうためにも、事前のリサーチをもとに効果的な提案プランを組み立てる必要があります。
声のトーンと話す速さに注意する
電話での営業はこちらの表情や仕草が伝えられないため、相手の耳に入る情報のみで興味を抱かせなければいけません。声のトーンとスピードが成功の鍵を握ります。もし相手に聞き取りづらい印象を与えてしまえば、最後まで話を聞いてもらえない可能性すら出てきます。せめて話だけでも聞いてもらえるよう、ワントーン高めの声で比較的ゆっくりと話す意識を持ちましょう。
テレアポ業務に携わっている人の立場からすれば、毎日大量の電話をかけ同じ話を繰り返すため、各電話が単なる作業となりがちです。ノルマがあれば数をこなそうと、つい早口で済ませたい意識も生まれてしまうでしょう。相手のことも考え、一つ一つの電話で丁寧に話すことが成功率アップへとつながります。
無駄なく簡潔に話す
要件は最初の10秒で伝えるのもテレアポのコツです。長い前置きは相手を警戒させ、話が長すぎると不快な思いをさせてしまいかねません。そうならないよう、最初の10秒で相手の心を掴めるよう工夫します。テレアポは自社と接点のない人を相手に電話をかけるものです。電話の目的を最初に伝え、安心して受け答えをしてもらえる状態にしましょう。
相手が話を聞いてくれそうな状態となれば、すぐさま相手にとってメリットとなる点を簡潔にわかりやすく伝えます。相手の抱いている課題の解決に役立つ強みを自社商品が備えていると端的に伝え、徐々に商品の特徴やプランの提案などへと進めていく流れの構築が重要です。


電話を切ろうとする相手を深追いしない
テレアポの相手は、電話を切るタイミングを探しているケースが少なくありません。相手からのニーズが引き出せず、こちらに対しても興味のない雰囲気を感じたら、むしろ早く会話を終わらせた方がどちらにとってもメリットがあります。全員に話を聞いてもらう必要はなく、相手に電話を早く切ってもらえればこちらも次の相手へと移れるため効率的です。縁がなかったと切り替える潔さも求められます。
経験が浅いとわかりづらいものの、慣れてくると徐々に相手の気持ちや感情が読み取れるようになります。話を聞いてくれる人に意識も時間も集中した方が成功率は上がるでしょう。乗り気ではない相手を深追いしないスタイルが、電話をかける数の増加にもつながります。
6-5.5.一方的に話さず相手に話させる
テレアポは自社商品の説明や提案が主な仕事となるため、一方的に話してしまいがちです。しかし、それでは相手は聞き流して終わりとなってしまいかねません。会話の途中の適切なタイミングで相手に問いかけ、返事をさせるなどの工夫が求められます。その際、答えが「はい」か「いいえ」の二択となる質問を投げかけます。選択肢があれば相手も答えやすく、抱えている課題や商品の特徴もイメージしやすくなるはずです。
また、相手の回答をある程度コントロールしやすい状態にもっていけるメリットもあります。答えや反応に応じて提案の仕方を変化させれば相手の課題や悩みに沿った形で商品の内容や魅力を伝えられ、結果的に成功率アップにもつながるでしょう。
テレアポはコツをつかめば稼げる仕事
新規顧客の獲得のために日々電話をかけ続けるテレアポの仕事。事前研修やトークスクリプト、マニュアルなどもあるため、未経験者でも始めやすい職種の一つです。基本給とは別にインセンティブを用意している企業も多く、コツを掴みスキルが身につけば他の職種よりも稼げる可能性もあります。
髪型や服装、シフトも比較的自由な企業が多い点もメリットです。興味があれば求人をチェックし、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
