仕事で何らかの問題があるため、ストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。その結果、明らかな体調の異変があるようなら、働き方や職場環境を見直さなければなりません。
今回は、仕事が辛いときに起こる身体的・精神的な異変、仕事が辛いと感じる理由と対処法をケース別に紹介します。また、自力で克服できない場合、どうすればよいのかも併せて解説していきます。


目次
「仕事が辛いから辞めたい」は甘え?
厚生労働省が実施した令和3年度の「労働安全衛生調査」によると、仕事や職業生活に関することで、「強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある」労働者の割合は53.3%に達することがわかりました。つまり、2人に1人が仕事にストレスを感じているといえるのです。
ストレスを感じる原因や程度はケースバイケースです。正社員や契約社員などの雇用形態、あるいは職種や業種によってもストレスの大きさは変わってきます。そのため、ストレスの感じ方を一括りにはできませんが、なかには仕事を辞めたいと思い詰めるほど辛い状況にある人も少なくないでしょう。
急減な社会変化によって、従来からの働き方が大きく変わった人も少なからず存在します。また、新型コロナウイルスの感染拡大による勤務先の経営不振などもあり、苦境に陥った人が増えていることも十分考えられます。さらに、職場内での各種ハラスメントの横行など、労働者を取り巻く環境が健全でないため、仕事を続けることを苦痛に感じる人も多いのです。
もちろん、少し注意されただけで辞めるなどはもってのほかですが、劣悪な環境に極限まで耐えながら仕事を続けるのは、決して褒められたことではありません。むしろ、思い切って辞める勇気を持つことが大切ではないでしょうか。このような背景もあり、仕事が辛いから辞めたいという感情を「甘え」として切り捨てるのはよくないのです。


要注意! 仕事が辛いときに起こる異変
仕事を支障なくこなすためには、日頃から体調管理をしっかりする必要があります。しかし、細心の注意を払っていても、目に見えないプレッシャーによって心身のバランスを崩してしまうかもしれません。仕事が辛い場合も例外ではないでしょう。
もちろん、加齢やほかの病気が関与する可能性があります。そのうえで、仕事の辛さが原因のケースが多々あることを知っておきましょう。ここでは、仕事が辛いことで生じる身体的な異変や精神的な異変について解説していきます。
身体的な異変
身体のどこかに具合が悪いところがあると、仕事にも集中できなくなります。その結果、ミスを連発して周りに迷惑を掛けるほか、職場内外でのコミュニケーションに支障をきたすことにもなりかねません。もちろん、いちばん辛いのは誰でもない自分自身です。
なかには、仕事を休まなければならないほど辛い状況になることも少なくないのです。大きな病気の予兆にもなりうるため、日常的な身体の異変を見逃さないようにする必要があります。ここでは、仕事が辛いときに起きやすい身体的な異変について紹介していきます。
頭痛や肩こりなど体に痛みが出る
長時間のデスクワークや立ち仕事、肉体労働などを行うと、肩こりや背中の痛み、脚の痛みなどの原因にもなります。頭脳労働が多い人は頭痛も出やすくなるでしょう。これらの症状を放置すると慢性的な痛みとなりQOLの低下にもつながりかねません。痛みには「急性痛」と「慢性痛」があり、前者は身体の異変を知らせる役目があります。
一方、後者の方は痛みそのものが病気のため、適切なケアをしなければならないのです。特に、肩こりと腰痛の両方を抱える人は、よりQOLの低下が大きいことを意識しておきましょう。
眠れない・起きられない
これまで睡眠時間や質に問題がなかったのに、日常的に睡眠トラブルを感じるようになった人もいるでしょう。もし、該当する場合は、その原因を追究する必要があります。また、その原因として仕事の辛さが当てはまらないかどうか考えてみましょう。身体のなかには交感神経と副交感神経とがあり、そのときの状況に合わせて正常に働くのが理想的です。
しかし、生活習慣の乱れやストレスなどにより、これらの神経の働きが乱れることも十分考えられます。仕事が辛いために寝付けないのも例外ではありません。就寝時、本来なら副交感神経の働きによりリラックスモードになります。しかし、交感神経が優位になって興奮するため眠れなくなるのです。
寝付きが悪いと十分な睡眠を確保することができません。夜中に何度も目覚める人もいるでしょう。そのため、睡眠時間を確保したとしても、必ずしも質のよい睡眠を得られるとは限らないのです。このように睡眠不足のまま起きて職場に行っても十分な力を発揮できないでしょう。
また、睡眠が浅いため目覚めが悪い、なかなか起きられないといった悩みも出てきます。仕事でのパフォーマンスを最大限発揮するには、一日を清々しい気分でスタートすることが大切です。睡眠不足で疲れ切ったままで家を出ると身体に負担がかかるだけでなく、遅刻や仕事中に居眠りする原因にもなります。
胃腸の調子が悪い
大事な行事に臨むときや旅行先などで胃腸の調子が悪くなる人もいるでしょう。胃腸はストレスの影響を受けやすい大変デリケートな臓器です。そのため、仕事が辛いと感じるあまり、胃の痛みや下痢、便秘などの不快な症状が起こることもめずらしくないのです。胃腸の働きには先述した自律神経の働きが大きく関わっています。このような胃腸トラブルを改善するためには、自律神経のバランスを整えることが大切です。
生活リズムを意識するほか、精神的ストレス発散の場を設けるなど、仕事モードからスイッチを切り替えることも重要です。適度な運動をしたり、半身浴をしたりして、自律神経を整えるように努めましょう。
しかし、胃腸の不快症状が長引き症状の悪化を感じるときは、ストレス性胃腸炎の可能性が十分考えられます。このような症状がみられるのに放置するのはよくありません。潰瘍ができたり、腹膜炎を引き起こしたりすることもあるため油断は禁物です。少しでも早く病院の受診をおすすめします。
ちなみに、初めて受診する人や胃の痛みなどが辛い人は「内科、消化器科」が一般的です。胃腸の症状よりも他の身体症状が強い人は「心療内科」、胃腸の症状よりも不安やイライラなどを強く感じる人は「精神科」を受診するとよいでしょう。


精神的な異変
仕事が辛ければ、当然、精神的なダメージも受けます。自分はメンタルが強いからと過信するのはよくありません。自分では気付かなくても、家族や友人など身近な人から指摘されたときは、素直に受け入れましょう。
もし、悪い意味で「性格が変わった」と言われるようになった場合は要注意です。精神的なストレスは身体的な異変も引き起こすため、両者が密接に関わっていることも知っておきましょう。
感情が不安定になる
精神的なストレスによって感情が不安定になることは少なくありません。仕事で失敗が多かったり、職場の人とうまくいかなかったりするなど、日頃の仕事による影響が大きいことも把握しておきましょう。このように自分にとって不利益なことが続くと、考え方がネガティブになりやすいです。
また、些細なミスで落ち込んだり、必要以上に自分を責めたりすることもあり得ます。また、うつの原因にもなるため十分注意しなければなりません。
一方、精神的ストレスによって、気分がイライラしたり、攻撃的な言動をとったりすることもよくあるケースです。もちろん、気分に波があるのは、めずらしいことではありません。
しかし、感情の起伏が極端な場合は、その原因を究明していくことが大切です。仕事が辛いせいで情緒不安定になっていないかどうか、しっかり自分と向き合い見つめ直してみましょう。
無気力になった
精神的ストレスの結果、無気力になることもあります。仕事が辛いために、何事にも興味が持てなくなったり、やる気が出なくなったりという心理状態が起きることも十分考えておきましょう。
もし、仕事をしたくない、会社に行きたくないと強く思うようになったら、うつの可能性があります。遅刻や早退が増える、無断欠勤をする、仕事に必要な報連相をしないなどの症状も目安になります。そして、このような症状がみられるようになったら、専門機関の診察を受けることが大切です。


【ケース別】仕事が辛いと感じる理由と対処法
仕事が辛いと感じたときは、理由を突き止めたうえで対処法を知ることが大切です。また、対処法を実践できているか確認する必要もあります。ただし、それらの対処法はすべての人に効くとは限りません。うつ状態の人に対処法を教えるとプレッシャーを感じて、さらに辛くなる可能性もあるからです。そのため、できる範囲でやってみることを考えましょう。
仕事が辛いと感じるケースは人それぞれです。対処法を実践するためには、一人一人の症状と向き合うことが重要です。個別に理由を見つけて対処できれば、仕事が辛い気持ちを抑えられるでしょう。ここでは、仕事が辛いと感じる6つのケースについて、理由と対処法を解説していきます。
上司・同僚・部下とうまくいかないとき
職場の人間関係に悩む人は少なくありません。もし、職場内で良好な関係を築くことができれば居心地のよさを感じます。また、仕事の生産性が上がるなど、いろいろな副産物が期待できます。
一方、些細なことが原因で人間関係にヒビが生じることもあるのです。その結果、職場内にギクシャクした空気が流れ、強いストレスを感じることもでてきます。
自分が認められていない、疎外感がある、嫌われているなど、職場内で孤立してしまった場合、仕事に行きにくくなります。その結果、仕事すること自体を辛く感じるようになっても不自然ではないでしょう。
もし、コミュニケーション不足が原因なら、改善していける余地があります。そのためには、上司に「報連相」(報告、連絡、相談)する機会を増やしたり、同僚や部下との付き合い方を工夫したりすることが重要です。些細なことでも自分から積極的に動くことで上司の心証をよくすることにもつながります。
また、同僚や部下とフレンドリーに接するなど、これまでの付き合い方を見直すことも重要です。お互いの距離を近くすることで、これまでの思い込みや誤解の氷解が期待できるでしょう。
仕事が思うように進まないとき
仕事が思うように進まないことがプレッシャーになり、そのストレスから仕事が辛いと感じることもあります。仕事が捗らない理由として、仕事の難易度が高すぎることも少なくありません。その結果、納期が守れないといった弊害も起こる可能性がでてきます。
仕事の進捗を妨げる理由として、人間関係の絡みも見逃せません。上司や先輩に叱られて萎縮する、同僚に迷惑をかけて気まずい思いをすることもあるでしょう。
さらに、顧客や取引先に不愉快な思いをさせてしまい、責任を感じることもでてきます。また、同じようなことが同時期に起きるとさらに落ち込むなど、負の連鎖を感じることも少なくないのです。
仕事ができなくて自信をなくした場合は、自ら成長することが大切です。そのためには、仕事に必要なスキルを高めるほか、同じミスを繰り返さないための努力も必要です。仕事を行う過程で見直しするだけでなく、終わった後で振り返るように心掛けましょう。
また、仕事を覚えるためにメモを取るのはいうまでもありません。メモはノートだけでなく、パソコンなどを使う方法もあるので、状況に応じて使い分けましょう。
社風や職場の雰囲気が合わないと思うとき
職場の雰囲気が自分に合わないと思ったとき、ストレスを感じることにもつながります。職場には独特の雰囲気があります。アットホームだけれども雰囲気がゆるすぎる職場もあれば、体育会系のノリについていけない職場もあるからです。もし、そのようななかで仕事をしても大丈夫ならストレスは起きにくいでしょう。
一方、そのような空気に苦手意識を持つ人にとっては苦痛以外のなにものでもありません。自分だけが周りから浮いていると感じるため、上司や同僚の言動を受け入れられなくなりストレスにも結び付くのです。
このような職場に身を置くためには、自分から歩み寄ることが重要です。社風や職場の雰囲気に溶け込んだり、慣れたりするための努力をしましょう。もし、個性を失いたくないのなら、同調圧力に屈せず自分を貫くのも一案です。
ちなみに、同調圧力とは自分を前面に出さずに、周りの人と同じような考え方を持ち行動することを意味します。周りの人が残業しているのに、自分だけ退社しにくいのはよくある話です。そのような雰囲気が定着している職場で、1人だけ帰宅するのは勇気が要りますが、あえて実践することでストレス軽減にもつながっていきます。


いじめやハラスメントを受けているとき
職場の人間関係を良好に保つことは並大抵ではありません。職場内の人数分だけ人間関係があり、それらが複雑に絡むことも知っておきましょう。
なかには、自分の言動を快く思わない人もいるかもしれません。自分の意見を述べたり、誰かの意見に反発したりすることが原因で、いじめを受ける場合もでてきます。それが正論だったとしても必ずしも認めてもらえるとは限らないのです。
また、さまざまな理由からハラスメントを受けることもあり得ます。いじめや嫌がらせは目立たない場所で起きることあるため、大変やっかいです。これらが日常的に繰り返されると、精神的苦痛から職場へ行くのさえ大変な労力をともないます。仕事が辛くなるのは当然のことです。
いじめやハラスメントなどを受けたときは、人事担当者や労働組合に状況を訴える方法があります。また、都道府県の労働局や労働基準監督署などに相談する方法もあるので、1人で悩まないことが大切です。
仕事量や労働時間に不満があるとき
適切な労働を保つためには、仕事量や労働時間に問題がないか確認する必要があります。もし、自分に与えられる仕事が多すぎるほか、残業ばかり続く、拘束時間が長い場合などは、不満の原因にもなります。
働き過ぎによる心身の不調により仕事を辛いと感じるようになり、痛ましい事故が起きることも少なくありません。そうならないためにも、上司と相談したうえで仕事量の調整などを行いましょう。
ただし、自分に割り当てられた仕事は、将来の成長を見込んでのこともあります。あえてオーバーワーク気味に仕事を任せている可能性もあるので、その点も含めて上司と話し合うことが重要です。
仕事を効率的にこなせていない場合は、スキルアップや効率化を図ることを意識しましょう。仕事を難なくこなせるようになれば、ストレスを感じることも少なくなるかもしれません。
給与が安いと感じるとき
お金だけがすべてではないとはいえ、仕事のモチベーションアップのためには「給与」は大事な条件といえるでしょう。一生懸命働いているのに給与や賞与が希望額に満たない場合、仕事が辛いと感じるかもしれません。
給与が安すぎると、自分の頑張りが認められていないと反発する人もいるでしょう。さらに、自分に価値がない、能力を生かせていないと思い込む人も少なくありません。
給与面での不満を解消するには、まず、いまの会社で給与を上げる方法がないか考えることが大切です。そのためには、給与規定を確認したり、上司に尋ねてみたりすることも考えましょう。仕事に役立つ資格を取得することで給与が上がる場合もあるので、該当する資格には積極的に挑むことも重要です。
もし、副業可能な職場なら、休日を利用して副業に励むとよいかもしれません。収入源をほかに確保することで、収入を増やすことにも役立つでしょう。


仕事の辛さを自力で克服できない場合
仕事が辛いと感じる理由のなかには、自力で解決するのが困難なものもでてきます。もし、孤独に悩み続けていては状況が改善しないだけでなく、心身にも大きな影響をきたしてしまいます。
そうならないためには適切な解決方法を知ることが大事です。ここでは、仕事の辛さを自力で克服できない場合に取るべき行動について紹介していきます。
誰かに相談したりアドバイスをもらったりする
仕事の辛さを1人で抱え込むのはよくありません。自分だけでは冷静になれないため、考え方がまとまらないことも多いからです。自分の弱い部分を見せるのに抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし、あえて自分からSOS信号を発することが大切です。家族や友人、恋人、恩師など、自分の周りには信頼できる人が多くいます。職場の上司や同僚などにも信頼できる人がいるので、腹を割って話しかけてはいかがでしょう。
もし、第三者の客観的な意見がほしいなら、公的機関の相談窓口を利用したりカウンセラーや社外メンターからアドバイスを受けたりする方法もあります。
異動や配置換えを申し出る
現在の部署で頑張ってみても、仕事への辛さが改善されない場合もあります。もし、いまの業務が自分の能力に合っていない、部署内に苦手な人がいるなどが原因の場合は、異動や配置換えを申し出るのもよいでしょう。
環境を一変させることで、仕事が辛い原因が取り除けるかもしれません。もし、異動や配置転換が難しい環境なら、職場を離れることも視野に入れてはいかがでしょう。
転職を検討する
仕事が辛い状況が改善できず万策尽きてしまった場合は、転職を検討するのもよいでしょう。そのためには、状況改善のために最大限の努力をすることが大前提です。
退職に向けては、未消化の有給数の確認や仕事の引き継ぎなど、やるべきことが一杯です。それらをきちんと行いながら、転職準備に取り掛かりましょう。また、転職サービス等に登録しておくと、転職活動がスムーズに行えます。
仕事が辛い気持ちを克服できないなら転職も視野に入れよう
仕事が辛いと感じる要因は個々によって異なります。もし、その理由をしっかり見極めてうまく対処できれば、仕事が辛いといった問題を解決できる可能性があるでしょう。
しかし、どうしても叶わない場合は、転職することも選択肢の一つです。そのためには、自分の希望条件に合うオファーが受け取れるPaceBoxに登録してみてはいかがでしょうか。
