転職活動では、多くの企業が履歴書と職務経歴書の双方で書類選考を行います。この2つの応募書類は、目的も書き方も異なります。特に転職活動の経験のない人は混同しがちなので注意したいところです。
本記事では、履歴書と職務経歴書のどちらかではなく両方提出しなければならない理由を解説。さらに、これらの書類の相違点と、それぞれの書き方やポイントなどについて詳しく解説します。


目次
履歴書と職務経歴書は両方必要なのか?
履歴書の多くには職歴欄が設けられています。職務経歴書と記載内容が重なっている点があるため、履歴書1枚にまとめて提出すればよいのではないかと疑問を抱く人もいるはずです。あるいは、志望動機や自己PRの記載が可能な職務経歴書を使用すれば、履歴書は不要であると考えたくなる人もいるのではないでしょうか。
しかし、転職活動ではどちらの書類も作成し提出するのが基本です。履歴書と職務経歴書の双方の提出により、自身の経験した仕事や従事した業務、そこで得たスキル、結果や成果などを、よりアピールしやすくなります。
企業が出している募集要項に「履歴書のみを提出」との記載があれば、その指示に従いましょう。そのような具体的な指示がない場合は、職務経歴書も作成と提出を求められていると考えた方が無難です。少なくとも、2つの応募書類を提出することで企業からの印象を悪くすることにはなりません。むしろ、入社への意欲が伝わりやすくなる効果が得られます。
ただし、書類に記載できるほどの職務経歴がまだ積み重なっていない場合は、履歴書の職歴欄にまとめて記載するのも一つの選択肢となります。空白や空欄の多い職務経歴書と比べて、ネガティブな印象を抱かれづらくなるでしょう。
履歴書と職務経歴書の相違点
履歴書と職務経歴書には、複数の異なる点があります。転職活動に不慣れな人が見落としがちな履歴書と職務経歴書の相違点を、「目的」「項目」「分量」の3つに着目し、それぞれ解説します。
目的の違い
履歴書の主な目的は、応募者の学歴、職歴、資格など基本的な情報の伝達です。これらは、基本的に応募先企業が変わっても、記載内容が変わるものではありません。記載内容が応募先企業ごとに変わるのは、志望動機や自己PRです。これらの記載と伝達も、履歴書の持つ重要な役割です。
一方で職務経歴書は、これまで携わってきた業務や、それにより得た成果などを詳細に記載し伝えることが目的です。フォーマットにより記載方法は異なりますが、複数の企業に勤めた経験を持つ人は、主に企業ごとの担当業務や職種を記載しアピールします。職務経歴の項目に関しては、これまでの職務経験が多い人ほど、応募先企業ごとに業務や成果を厳選して記載するのがポイントです。
また、意外と認識していない人もいますが、企業にとって履歴書は書類選考の判断材料としてよりも、企業が人事情報として保管する意味合いの方が強いケースが大半です。採用担当者の多くは、職務経歴書の内容を重視し書類選考を行っています。これは、決して履歴書の作成をおろそかにしてよいという意味ではありません。
履歴書は顔写真や職歴、志望動機や自己PRなど、応募者の印象や意欲に関わる要素を伝える重要な役割を持つ書類であることを認識しておきましょう。


項目の違い
履歴書に記載する主な項目は、学歴・職歴、免許・資格、志望動機などです。履歴書に用意されている項目は、経歴や資格など応募者の基本的な情報が多くなっています。
また、フォーマットによる大きな違いはみられません。転職者用のフォーマットを選択すれば、メーカーや製品ごとの記載項目の違いはさらに小さくなります。
一方、職務経歴書に記載する主な項目には、職務要約、職務経歴、習得スキル、成果などがあります。職務経歴書は履歴書よりも自由度が高い点が特徴です。
一定のフォーマットは用意されていますが、必ずしもそれに従う必要はありません。応募先企業ごとに自身がアピールしたい項目を設け記載します。あるいは、自分にとって使い勝手のよいフォーマットの職務経歴書を選択し、並んでいる項目に沿って記載していくのもひとつの方法です。
文量の違い
履歴書は、1枚の用紙にまとめる形が基本です。決められたフォーマットが存在しているため、分量もそれに合わせます。履歴書のフォーマットはインターネットからもダウンロード可能です。細かい部分にはそれぞれ違いがあるので、自身に合ったものを選ぶようにしましょう。
もし選択が難しいようであれば、広く使用されているJIS規格の転職者用の履歴書フォーマットを使用してください。採用担当者が違和感を抱くこともないはずです。
職務経歴書は、A4サイズ用紙1枚か2枚の分量で作成するのが基本です。職務要約や職務経歴、習得スキルや成果、さらには自己PRなども記載可能なため、1枚には収まらない人も多いでしょう。無理に1枚に収めようとすれば、十分にアピールできないかもしれません。もちろん、あまり記載できるような経歴を持っていない人は、1枚に収めても問題はありません。
履歴書のみに収められる程度しか職歴や実績が積み上がっていないにもかかわらず職務経歴書を2枚用意しようとすれば、むしろ内容が薄くなってしまいます。スペースの目立つ職務経歴書の提出は、あまりよいアピールとはならないため注意が必要です。
アピールの意欲が先行し、3枚4枚と枚数を増やしてしまうのも避けるべきです。分量が多くなるほど採用担当者に負担を強いてしまうことになります。読みづらさにもつながり、逆効果となる可能性が出てきます。多くの転職希望者にとっては、やはり2枚以内がベストでしょう。
また、社内文書の印刷を2in1で行っている企業にとって、3枚の職務経歴書は印刷や保管の面倒さにつながることも押さえておかなければなりません。
履歴書と職務経歴書を書く前にやっておきたいこと
履歴書や職務経歴書をよりよいものへと仕上げるには、応募先企業への十分な理解が不可欠です。志望動機や自己PRは、募集要項やポジション、担う業務などと合わせて記載します。
応募企業が異なれば、当然ながら記載内容も異なります。企業と自身との接点を探ることで、重点をおくべき要素がみえてくるはずです。そのために、応募書類の作成前には、企業のホームページや募集要項に改めて目を通しておくことが重要です。
また、自身のこれまでの経験や得意とすること、具体的な成果の棚卸し作業も必須です。頭の中だけではなく実際に書き出すと整理しやすく、適切なものを選択しやすくなります。
特に、職務経歴書は「誰に」「何を」「どうしたか」を意識しまとめるのがポイントです。単にこれまでの経歴をまとめただけでは履歴書との差別化が図れません。この3つの要素への意識を高めつつ作成すると、自身の強みが発揮できる分野や培ってきたスキルなどの適切なアピールにつながります。職務経歴書の提出の意義も出てくるはずです。


履歴書の具体的な書き方
履歴書はビジネスマナーを意識しながら作成します。例えば、和暦と西暦は履歴書内で統一させるなどを、最低限のマナーとして守らなければいけません。最初から最後まで丁寧に記載し、そつなくまとめることが重要です。
学歴は高校からの記載が一般的です。特に指定や指示がなければ、義務教育に関する経歴は省いても問題ありません。職歴は入退社歴を正式な企業名で記載します。入退社の時期も正確に記載し、すでに退職した企業がある場合は離職理由も簡単でよいので添えておきましょう。職歴を書き終わったら「以上」と、忘れずに記載しておきましょう。
自己PR欄は、自身の長所や仕事で生かせるスキルを端的に記載します。説得力を増すために具体的なエピソードを記載するのも、よい印象を与えるためのテクニックのひとつです。
志望動機は、まず応募した理由を冒頭に記載し、採用担当者の興味を引きつけることがポイントです。採用担当者の読みやすさも意識し、文章が長くなりすぎないように注意しましょう。あまりにも量の多い自己PRや志望動機はマナー違反ととらえられかねません。履歴書への記載は、300文字程度でまとめましょう。
関連記事:履歴書の書き方を徹底解説!項目別のポイントと注意したい履歴書のマナー
職務経歴書の具体的な書き方
職務経歴書が果たすべき役割は「自社が求めているスキルと経験を持っている人材だ」と、採用担当者に思わせることです。最初に記載する「職務要約」は、いわば職歴のあらすじにあたります。これまで経験してきた仕事や業務にキャッチフレーズをつけ、100文字程度で見やすくまとめるのがポイントです。
参考:職務経歴書の「職務要約」はこう書く! 好印象を与える書き方&職種別例文
次の「職務経歴」では、自分が携わってきた業務内容を具体的に並べます。業務ごとの成果や実績も記載しますが、この際、できる限り具体的な数字を提示しましょう。スキルや実績を採用担当者が客観的に判断しやすくするためです。
業務と関連する資格や特殊な技能を持っている場合は、別に項目を分けて記載します。資格や技能に関しては、文章ではなく箇条書きで記載するとよいでしょう。同様に、自己PRも箇条書きにすると採用担当者にとって認識しやすくなります。
ただし、箇条書きは余計なものまで並べてしまいがちなので要注意です。応募先企業と関連性のない自身の長所をひたすら並べても意味がありません。その企業が欲する人材像を意識し、それに見合った能力や特徴の記載を心掛けましょう。


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履歴書と職務経歴書を書く際の注意点
確かな経歴があり企業が求める人材像に当てはまっていたとしても、履歴書や職務経歴書に正しくない情報の記載があればマイナス評価へとつながります。
応募書類として違和感のある場合も、ビジネスマナーや常識に欠けていると判断されかねません。ここでは、履歴書と職務経歴書を作成する際の注意点について解説します。
間違った情報を書かない
履歴書や職務経歴書に、間違った情報を記載してはいけません。内容によっては、経歴詐称と判断されるケースもあります。経歴詐称があったと判断された場合、採用決定後でも懲戒解雇となる可能性があるため要注意です。
以前勤めていた企業を入社後すぐに辞めてしまった人は、しばしば正しくない情報を記載し、ごまかしたくなる気持ちが出てくることがあります。退職後からしばらく仕事をしておらずブランクの期間が長くなってしまっている人も同様です。しかし、嘘の記載はのちに自分を追い詰めることにもなりかねないため、履歴書や職務経歴書には必ず正しい情報を記載してください。
虚偽の経歴ではないものの、自分の能力をはるかに上回る自己PRの記載も控えるべきです。職務経歴書に記載する実績や成果の数字の上乗せも避けなければいけません。書類選考を通過したとしても、面接でその点を掘り下げられると適切に受け答えできない可能性があります。
仮に採用された場合も、実際に業務に携わる過程で能力の過剰申告を疑われてしまうでしょう。企業だけではなく、最終的には自分自身も困ることになるため注意が必要です。
手書きよりPC作成がおすすめ
履歴書と職務経歴書は、応募先企業から特に指定がない限りは手書きでもNGとはなりません。しかし、可能であればPCで作成しましょう。手書きと比較し、PCで作成した応募書類は採用担当者が読みやすいというメリットがあります。
WordやExcelといったPCに標準装備されていることの多いソフトでの作成は特に便利です。一度フォーマットを作成すれば、それを繰り返し活用できます。応募先企業によって内容やフォーマットを変更する場合でも、すぐに対応可能です。
手書きでの作成は、メールや企業の用意したWeb上の専用フォームで履歴書や職務経歴書を提出する場合に大きなデメリットかつハンデとなります。手書きで作成した応募書類をPDF化するのに手間がかかるなど、効率がよくありません。応募書類をWeb上で保管している企業も多く、そのような企業では紙に記載された履歴書や職務経歴書によい印象を持たない可能性もあります。ネットを活用した応募書類の提出と紙での提出の双方に簡単に対応できることは、PCによる作成の大きなメリットです。
とはいえ、PCで作成した応募書類が読みやすいのは、レイアウトに十分に気を遣って作成された場合です。何も意識しなければ、PCによる作成でも読みづらさを採用担当者に与えてしまうため注意が必要です。読みやすくするために、フォントは統一しましょう。文字サイズは、タイトルは大きめに本文は小さめになど、項目や記載箇所により調整します。
しかし、統一感を持たせる必要がある点は変わらないため、あまり多くの種類の文字サイズを同じ書類に盛り込むことは避ける必要があります。タイトルの文字サイズや本文の文字サイズはそれぞれ固定するなどの工夫が重要です。文頭は左寄せで揃えることなども含め、きれいで読みやすいレイアウトに仕上げましょう。
自己PRは両方に書く
自己PRは、書類選考の結果に大きく影響する項目の一つです。履歴書と職務経歴書の双方に記載しましょう。履歴書は、あまり長い文章を書くのに適した書類ではありません。
自己PRも簡潔に記載し、履歴書では伝えきれなかった点を職務経歴書の自己PR欄に記載しアピールします。同じ自己PRでも書類によって記載された内容に濃淡があれば、アピールの幅や度合いが増します。採用担当者にもそうした配慮が伝わることで、よい印象を持ってもらいやすくなるはずです。
自己PR以外にも、職歴欄や志望動機など履歴書と職務経歴書とで重複する項目があります。同様に、履歴書には概要を、職務経歴書には詳細を記載し使い分けるのがポイントです。この際の注意点は、履歴書と職務経歴書とで矛盾した内容や主張とならないことです。書類ごとに内容や主張が極端に異なると採用担当者も混乱します。
面接で真意を確認されることになるでしょうが、応募者が多い場合や明らかに矛盾が確認できる場合には、書類選考の段階で落とされて面接に進めない可能性もあります。同様の項目を異なる書類に記載する際は一貫性を重視し、作成後に矛盾がないか必ず確認しましょう。
履歴書と職務経歴書の書き方を押さえて書類選考を突破しよう
履歴書も職務経歴書も、転職の書類選考には欠かせません。履歴書は応募者の基本的なプロフィールを、職務経歴書はこれまでの経験で培ってきたスキルや実績を企業にアピールするためのものであり、それぞれに異なる目的や役割があります。
重複する部分もあるものの同じものとは考えず、違いを意識しながら作成することが重要です。こうした点を押さえていれば、書類選考突破へと近づくことができるでしょう。
