履歴書の送付状を用意する際、手書きがよいのか、それともパソコンで作成するべきか悩んだことはないでしょうか。明確な決まりがあるわけではありませんが、提出する書類によって応募先企業に与える印象が左右されることもあります。
そこで、今回は、履歴書に添える送付状は手書きにすべきなのか、どのような内容を記載したらよいのか基本的なことを解説していきます。


目次
送付状とは?
送付状とは、誰に対してどのような書類をどれだけ送ったかが一目でわかるように示した書類のことです。簡単にいえば、書類の目録のようなものと考えればよいでしょう。書類の一番上に表紙として添えるもので「このような内容の書類を〇〇様宛てに送ります」とわかりやすくする役割を持っています。ビジネスでやり取りされる書類は、種類も数も多くなりがちです。
そのうえ、取引先などさまざまな相手から届いた場合は、どの書類が誰から誰宛てに届いたのかわからなくなることも出てきます。送付状があれば、後からでも確認しやすくなります。
送付状の役割はそれだけではありません。書類に抜けがあったときも、送る側がミスに気づくこともできます。書類を送る際、用意したつもりでも同封していないというミスをすることもあります。そのようなときも送付状をチェックすれば書類漏れに気づきやすくなりますし、早めの対処が可能です。
もしもそのまま送ってしまった場合でも、受け取った相手に書類の不足を指摘してもらうことができます。書類に不足がないかどうか確認できるという意味でも、ビジネスシーンでの書類のやり取りにおいて送付状は欠かせないものです。
履歴書提出に送付状は必要?
本来、履歴書は直接会って手渡しをするのが理想的です。対面なら、まず挨拶をしたうえで履歴書を渡すことができます。しかし、履歴書を渡すためだけに時間を取るのは難しいときもあります。そもそも、渡すタイミングを決めるにも相手の都合を考慮しなければなりません。
履歴書を手渡すことが難しいときは郵送するのが一般的ですが、そうなると履歴書だけが届くことになります。本人が直接挨拶をする代わりとして、郵送のときは送付状が必要になるのです。
ビジネスの場面で書類を送付するときは、誰宛てに何の書類を送ったのかわかるよう送付状を付けることがマナーとなっています。履歴書においても、送付の際はビジネスマナーに則って送付状が必要です。履歴書は、採用者にとって面接前の段階で応募者を判断するための数少ない材料という役割を持っています。送付状を忘れたからといって、採用合否に直結するというわけではありません。それでも、送付状を付けることで人となりのアピールができますし、採用担当者に与える印象が良くなる可能性はあります。


履歴書に送付状を添えるメリット
先述したように、履歴書に送付状を添えるのはビジネスマナーのひとつです。では、具体的にはどのようなメリットがあるのか説明していきます。
どの求人に応募したのかがわかりやすい
1つめのメリットとしてあげられるのは「どの求人に応募した履歴書なのかわかりやすいこと」です。規模の大きな企業になると、複数のポジションで同時に採用を行うことも珍しくはありません。
その場合、ただ履歴書や職務経歴書だけを送付しただけでは、どの求人への応募なのかわかりにくくなります。応募先が不明では、採用の対象から外れてしまう可能性も出てきます。
書類はせっかく企業に届いているというのに、そこから先の部署があいまいなために採用のチャンスを失うのはもったいないことです。封筒に応募先の部署名などを書き忘れていたとしても、送付状が添付されていれば企業側で振り分けてもらえるでしょう。どの募集に対してどういった書類が送られたのか把握してもらうことができ、書類が迷子になることを防げます。
簡潔に応募意欲をアピールできる
2つめのメリットは「簡潔に応募意欲をアピールできること」です。送付状の内容が簡潔にまとまっていれば、応募先企業にビジネスマナーを心得ているというアピールにもなります。本来の送付状の体裁を整えていることはもちろんですが、それでいてオリジナリティーのあるものが好ましいといえます。
送付状の中に、志望動機や自己PRを加えてみましょう。送付状は書類の内容を伝えるのが本来目的なので、しつこい印象を与えない程度にしておくことがポイントです。短い文章をさりげなく添えることで、応募の熱意ややる気をアピールできます。
同封した書類をはっきり示せる
3つめのメリットは、送付した書類の内容をはっきり示せることです。応募書類といっても、実際には応募する職種や企業によって求められるものに違いが出てきます。履歴書と職務経歴書以外にも、提出が必要な送付物があるかもしれません。
例えば、ポートフォリオのような過去の実績がわかる資料を同封することもあります。送付状のコピーやデータを手元に保管しておけば、どこの企業にどういった書類を送ったのか後からでも確認できます。そして、応募先に送った資料や書類を把握していれば、面接に進んだときにその内容に合った対策をすることが可能です。
履歴書の送付状は手書きでなくても構わない
送付状ですが、結論をいえば手書きでなければいけないということはありません。傾向としてはパソコンで作成する人も増えてきていますし、自分の判断で問題はないでしょう。
しかし、履歴書自体は手書きに良い印象を持つ採用担当者がまだ一定数いるのが現状です。そう考えると、送付状についても手書きが好ましいと思う担当者もいる可能性はあります。
送付状は、書く内容が限られているうえに履歴書より情報量は少ないものです。手書きをしてもそれほど時間がかからないため、文字に自信がある人は手書きをするのもよいでしょう。
採用担当者にとって、文字は人となりを想像する素材のひとつです。普段から丁寧で見やすい文字を書いている人なら、それが良いアピールポイントになるかもしれません。


送付状はどのように書けばいいの?
ところで、送付状はどのように書けばよいのか悩む人もいるでしょう。そこで、手書きとパソコンの場合に分けて送付状の一般的な書き方を説明していきます。
手書きの場合
手書きで注意しておきたいのは、便箋選びです。シンプルな白い便箋を使い、縦書きにしましょう。線が入っている便箋だと、文字がずれることなくきれいに書けます。便箋のサイズも重要なポイントで、書類に合わせてA4もしくはB5を選びます。送付状の1文目に入れるのは、頭語や時候の挨拶です。
時候の挨拶については季語を使うことが多いですが、間違えてしまうとマイナスの印象を与えかねません。ですから、あえて季語は使用せず「時下」にしておくと無難です。
次に、適度に間隔を空け、同封する書類の内容、枚数を箇条書きで記入します。数字については、縦書きであることを考慮して漢数字でまとめましょう。主文として簡単な自己PRを書いたら、あとは結びの挨拶と結語で締めます。自己PRは、先述したようにしつこくならないよう注意が必要です。
例えば、応募先の業務に役立ちそうな自分の特技などを簡単に入れて1文程度にまとめます。主文を書いたらまた適度に間隔を空け、最後に日付と自分の氏名、宛て名を記入します。日付と宛て名は上、自分の氏名は下に書くのが基本です。宛て名のところには社名と部署名、担当者名を正確に入れましょう。
パソコンで作成する場合
パソコンで送付状を作成するときは、A4用紙を縦向きにして横書きします。はじめに右寄せにして日付を入れ、次に左寄せで宛て先を入力します。
採用担当者の氏名が不明な場合は、部署名のあとに「採用御担当者様」と入力すれば問題はありません。続いて、右寄せで自分の署名を入れていきましょう。順番としては、郵便番号と住所、氏名、そして電話番号とメールアドレスです。
ここまでできたら適度な間隔を空け、送付状の件名を中央に入力します。件名は「応募書類の送付につきまして」などでかまいません。ここから先の頭語から結語までの流れは、基本的に手書きのときと同じです。
最後に「記」の文字を中央に入れ、その下には左寄せで同封の書類と枚数を箇条書きで記入します。そして、最後に右寄せで「以上」と入力して完成です。
関連記事:履歴書はパソコン作成して印刷でも大丈夫?手書きで作成した方がいいの?


マナー違反になる送付状の特徴は?
送付状を履歴書に添えるのはビジネスマナーですが、書き方によってはマナー違反になることもあります。では、どのような送付状だとマナー違反と捉えられやすいのか解説していきます。
過剰なアピール
送付状の目的は、あくまで書類を送るための案内と挨拶です。「このような書類を送付しますのでよろしくお願いします」という挨拶を、対面する代わりに伝えるものに過ぎません。にもかかわらず、本来の目的から外れた過剰なアピールを添えることは、マナー違反と取られても仕方ないでしょう。例えば、志望動機を長々と書く行為や自己PRの補足などはしないことです。不利と思える経歴の言い訳の場として使うことも、好ましくありません。
送付状の書き方で、人となりを見ることもできます。本来の目的を超えたアピールを送付状で行うのは、採用担当者にマイナスの印象を与えるだけです。送付状は便箋1枚に収まるものなので、長くなったとしても3〜4行程度で収めるようにしましょう。
定型文のみ
常識的な体裁の送付状であることは重要ですが、定型分のみではマイナスの印象を与えかねません。例えば、インターネットで簡単に手に入るテンプレートをそのまま使うような行為です。宛て名や自分の氏名などを入れ替えるだけでは、マナーに疑問を持たれても仕方ないでしょう。仕事に対しても同様の対応をするのではないかと思われるかもしれません。せっかく送付状を作成しても、入社の意欲や企業に対する熱意を疑われてしまいます。
採用担当者のもとへは、大量の履歴書が届けられます。定型文を使った場合、他にもまったく同じ内容の送付状が届いていることもあるでしょう。入社を希望する書類に対して手抜きや使い回しといったネガティブな印象を持たれるのは、大きなマイナスポイントです。テンプレートをそのまま使うのではなく、自分なりの一文を加えるなどオリジナリティーのある送付状を作ることが求められます。
6-3.労働条件に関する希望
送付状には、採用条件に関する希望なども書いてはいけません。何度か説明している通り、送付状とは対面で挨拶できない代わりとして添えるものです。そもそも、送付状に送付物の概要以外のことを書くことはマナー違反になります。送付状に自己PRや志望動機に関する短文を添えるのは、履歴書や職務経歴書に添えるものであるためです。
あくまで短文にとどめることが許容の範囲であり、採用後の希望などを書くものではありません。労働条件の希望を書くのは、特に礼儀に反することです。もしも履歴書や職務経歴書に書き漏れがあったときは、履歴書または職務経歴書のほうで書き直しておきましょう。
送付状を郵送する場合のマナー
送付状を添えて履歴書など応募書類を送付するときも、マナーを意識する必要があります。応募書類は、すべてクリアファイルにまとめましょう。そのうえで封筒に入れます。クリアファイルは、色のついたものではなく無色のものが無難です。くれぐれも絵柄や文字のついたものは使わないようにし、できるだけ新しいきれいなものを用意します。
書類は、可能な限り折り曲げないことも郵送する際のマナーです。そのためには、クリアファイルのままですっぽり入るサイズの封筒を選びましょう。なお、クリアファイルに入れるときは上から送付状、履歴書、職務経歴書、その他の順で重ねていきます。封筒に入れるときは、表となる宛て名面側に送付状がくるように入れて封入します。封筒の裏面には、差出人である自分の住所と氏名を入れることも忘れてはいけません。
関連記事:履歴書を郵送するときのマナーとは?準備物や封筒の書き方などを解説
持参するときにも送付状は必要?
結論からいえば、履歴書を持参するときは送付状は不要になります。送付状とは、あくまで書類を郵送する際に添えるもので、直接持参できないときの挨拶状です。対面で挨拶する代わりに添えるのが目的であるため、直接自分で手渡せるときはそもそも必要ありません。
ただし、封筒やクリアファイルは持参するときも必要です。持参する際は、送付状を除くすべての書類をクリアファイルにまとめ、そのうえで封筒に入れます。
そして、直接渡せば問題はありません。送付状を付けない代わりとして、書類を手渡すときに「応募書類を持参しました」といった一言を添えるようにしましょう。また、直接渡すときはその場で確認されることが多いため、封筒に入れたあとはノリ付けしないのが一般的です。
関連記事:履歴書を手渡しするのに封筒は必要?基本マナーや注意点などを紹介
PRはさりげなくが好印象
送付状は、基本的に手書きでもパソコンで作成しても問題はありません。どちらにするかは、自分で判断すればいいことです。
文字に自信があるなら手書きもいいですし、見やすさを優先するならパソコンで作成するのもいいでしょう。いずれの場合でも、送付状での自己PRはさりげなく書き添える程度でとどめることです。過剰にならないことが好印象につながります。
