履歴書には日付記入欄が設けられています。履歴書作成の際、この欄の記入に迷った経験はないでしょうか。履歴書作成を始めた日なのか、それとも書き終わった日なのか、はたまた別の日を記入するのか未だに明確に認識していない人もいるでしょう。
今回は、履歴書の日付欄の記入に関する疑問を解消する記事です。適切なタイミングや、日付記入の際の注意点などとあわせて解説します。


目次
記載する日付は履歴書が手元を離れる日
なぜ履歴書には日付記入欄が設けられているのでしょうか。日付欄は、応募者が提出してきたタイミングを企業が把握するために設けられています。
応募を決意した日でもなければ、履歴書を書き始めた日を採用担当者へと知らせるためのものでもありません。多くの履歴書の日付欄には「年月日現在」と記載されています。つまり、記載した内容がどの時点のものかを示すために用意されていると認識できます。
人によっては、履歴書を書き始めたタイミングと書き終わるタイミングが異なるでしょう。その間に、例えば受けていた資格試験の合格通知が届いたり、前に勤めていた企業の退職が正式に決定したりするといった可能性もあります。
履歴書の書き始めの日付を書いてしまうと、作成中にしばしばそのような変化が訪れ、記載された日付と履歴書の書き終わりの状況との間に齟齬が生じます。そのため、日付記入欄には必ず履歴書が応募者の手元を離れる日を記載しなければいけません。
郵送により提出する場合は郵便局に持ち込む日、あるいはポストに投函する日を記載します。企業へと直接持参する場合、履歴書に記入する日付は訪問日です。メールで送信するケースでは、送信日を記入します。応募書類には提出時の、つまり最新の情報を記載するのがマナーです。
履歴書の日付は、提出した時点での最新の情報が盛り込まれていることを示しています。少なくとも採用担当者はそのように受け取るため、勘違いが生じないよう注意して記載する必要があるでしょう。
履歴書の日付の書き方は?
履歴書の日付の書き方には注意点があります。採用担当者へと悪い印象を与えずに済むポイントを解説します。
西暦と和暦どちらが正解?
履歴書の日付を西暦と和暦のどちらで記載するか迷う人もいるでしょう。日付欄には「年月日現在」と書かれているのみで、西暦なのか和暦なのかの指定が特にない履歴書もあります。そのような履歴書の場合は、西暦でも和暦でも記載可能です。
どちらで記載したかによって、採用に影響を与えることはほとんどありません。ただし、同じ履歴書内で違いがあると問題が生じます。必ず、西暦か和暦かの統一が必要です。
履歴書には、履歴書の提出日以外にも年や月を書く項目が用意されています。それらに合わせるのも一つの方法です。例えば、購入した履歴書の生年月日の記載欄にあらかじめ和暦が印字されている場合、履歴書の提出日も和暦に合わせましょう。
年月日を記載する項目としては、ほかに学歴や職歴、資格・免許取得に関する欄などがあります。特に指定がない場合は自由に記載して構わないものの、統一のルールは守る必要があります。
日常生活での習慣から、区切りの年や印象深い年を西暦で覚えている人もいるはずです。その場合は履歴書の日付も西暦にすると書きやすく統一しやすいでしょう。履歴書にあらかじめ用意された年月日記載欄のスペースで判断するのも一つの方法です。スペースが広ければ漢字で記載しやすいため和暦を選択でき、狭ければ西暦の方が書きやすく整った履歴書に仕上げられます。
日付は算用数字を使用
履歴書は横書きのフォーマットであるため、日付は算用数字の使用が基本です。一般的に「1」「2」「3」と表記される数字が算用数字であり、アラビア数字とも呼ばれます。横書きの書類には算用数字を用いるのが、ビジネスマナーかつ社会人としての常識です。また、横書きの書類に漢数字を使用すると読みづらい点も、算用数字を用いるのが適当である理由です。採用担当者は多くの履歴書や職務経歴書を目にしています。他の候補者が算用数字で記載するなか、日付が漢数字で表記された履歴書があれば違和感を覚えるはずです。
履歴書に提出日を記載していれば、算用数字でも漢数字でも、まったく正しくはないとはいえません。しかし、やはり読みやすさを重視しなければならない点やビジネスマナーの観点からすれば、漢数字の使用は間違いであるといえます。確かに他の候補者との差別化は必要です。ただ、それは履歴書の内容で表現・主張すべきです。採用担当者のもとに集まった多くの履歴書の中で、一人漢数字を使ってしまっていれば、悪い目立ち方をする可能性が高いでしょう。また、日付以外の、特に固有名詞に数字が含まれる場合は正式名称を記載します。例えば、出身高校の記載で「第一高等学校」を「第1高等学校」と記載してはいけません。


ほかの書類や封筒と統一する
履歴書に記載する日付は、一緒に企業へと提出するほかの書類などとも統一させます。記載方法も同様です。そのほかの書類には、転職希望者の場合、職務経歴書や送付状があります。
履歴書の中で日付や記載方法が統一されていても、ほかの書類と異なっていれば違和感を与えてしまいます。固有名詞など特別な箇所は除き、書き方を統一させるのがマナーです。特に、履歴書と職務経歴書の作成のタイミング、それらを入れる封筒への宛名書きのタイミングが異なる場合は要注意です。
各書類の作成日が異なり、それぞれの作成日を記載してしまうと書類同士の日付が統一されません。そのなかに、仮に古い日付のものが混じっていれば、応募書類の使いまわしを疑われる可能性もあります。それがたとえ応募先企業へ向けて作成した書類であってもです。書類ごとに日付が異なっているだけで悪い印象を持たれてしまうほど、損なことはないでしょう。
応募書類作成の際は、すべての書類の日付を統一できるようチェックリストを作っておくと便利です。最後に確認しながら記入すれば、書類ごとに異なった日付を記載してしまう事態を回避できます。
履歴書に日付を記入するタイミングは?
履歴書へと日付を記入するタイミングとしては、提出直前がベストです。応募先へと送付するすべての書類を整え、提出日に各書類に記入していけば日付を統一できます。異なる日付の書類を提出するミスも防げるはずです。この方法で日付を記入するためには、書類の作成時には日付を空欄にしておく必要があります。もし、書類を書く際に最初に日付を入れる癖があるのであれば、転職活動を機に直しておきましょう。このような癖のある人は、最終的な日付の記入漏れを心配しているのではないでしょうか。提出前に記入しなければならない書類の種類と日付欄の位置、総数をリスト化しておくと記入漏れを防げます。応募書類の作成に取り掛かる前に、このようなリストを作成しておくとよいでしょう。
すべての書類の日付欄を提出直前にまとめて記入する方法は、書き方の統一にも役立ちます。西暦と和暦の書き間違えも防ぎやすく、最新の日付で揃えられるので採用担当者にも誤解を与えずに済みます。提出する日にすべての応募書類に日付を記入する作業は、提出書類の最終確認にも活用可能です。履歴書と一緒に提出しなければならない職務経歴書や送付状などを、忘れずに封筒に入れられます。書類の提出漏れによるイメージダウンや選考への悪影響も回避できるでしょう。
履歴書を提出する際の注意点
履歴書を提出する際の注意点のなかで、とりわけ日付に関するポイントを解説します。
空欄のまま提出しないように注意
日付と書き方を統一させるために、作成時は日付欄を空欄にしておき、提出直前にまとめて記載する方法を紹介しました。この方法は多くのメリットがある一方で、記入を忘れたまま提出してしまうリスクも生じさせます。もし日付が空欄のままの履歴書や職務経歴書を受け取ったら、採用担当者は疑念を抱くでしょう。事前に作成しておいた書類を応募先企業に適当にまとめて送っているのではないかと疑いかねません。仮にそれを疑われなかったとしても、日付記入欄が設けられている書類に何も記載されていなければ、ミスをしがちな人であると認識されてしまう可能性があります。注意力が足りない、もしくはビジネスマナーを十分に備えていないと判断されると、選考にも悪影響を与えるはずです。
忘れずに日付を記入するためには、提出書類や応募までに必要な作業などのチェックリストの作成が有効です。提出に必要な書類は用意できているか、企業ごとに書き分けがされているか、日付は記入されているかといったチェック項目をあらかじめ用意しておきます。チェックを終えた項目に印を記載できる仕様であれば、より記入漏れを防げるでしょう。履歴書や職務経歴書と同様のフォーマットを別に用意し、記入を忘れやすい項目に赤丸をつけておく方法もあります。それと照らし合わせながら作成した履歴書を確認することで、記載漏れを防ぎやすくなるはずです。
日付を書き間違えたときは?
日付の書き間違いに気づいたら、手書きの履歴書の場合はすべて書き直します。パソコンで作成したものであれば、データの修正を行い印刷し直します。履歴書や職務経歴書は重要書類です。修正ペンや修正液、修正テープでの修正をしてはいけません。修正跡が残った書類の提出はマナー違反です。日付に限らず、どの箇所や項目であっても間違いがあれば最初から書き直します。ときに、履歴書に記載された日付と実際の提出日とがずれてしまうケースもあるでしょう。提出するつもりで日付を記入したが、なんらかの都合で提出できなかった場合、履歴書記載の日付と提出日が1〜数日ずれることは珍しくありません。
この程度であれば致命的なミスとはならず、特に問題視しない採用担当者がほとんどです。「履歴書作成日を記入したのではないか」と認識し受け取る企業が多いはずです。あるいは「郵送が遅れただけ」などと、あまり気にも留めないでしょう。しかし、履歴書の日付と提出された日に1カ月以上のずれがあると、ネガティブにとらえられる可能性が出てきます。応募書類の使いまわしを疑われても仕方がありません。都合やタイミングの問題で履歴書記載の日付と提出日にずれが生じてしまう場合は、もう一度最初から書き直すのが賢明です。数日のずれでも気になる場合は、新たな履歴書を用意し書き直しましょう。
封筒にも日付を記入
履歴書などの応募書類を入れた封筒にも日付を記入します。封筒裏面の左上に縦書きで日付を記入する形が基本です。この際、算用数字と漢数字のどちらを使用しても構いません。しかし、縦書きであることから読みやすさを重視し漢数字での記載が望ましいでしょう。西暦か和暦かは、封筒に入れた履歴書や職務経歴書に合わせ選択します。企業に直接持参する場合は、封筒の表面に応募先の住所や企業名を書く必要はありません。ただ、裏面への提出日の記入は必須です。封筒の表面には「履歴書在中」や「応募書類在中」を赤字で記入するのみで十分です。封筒の裏面の下部には、自分の住所や氏名を記載します。丁寧な文字で略字や略称などを使わず正確に書きましょう。日付の記載ミスは合否に影響する?
ここまで履歴書に記載する日付について、記載方法やポイントを解説してきました。しかし、履歴書の日付の書き間違いが、直接合否に影響するケースは多くはありません。採用担当者によっては気にするため少々ネガティブなイメージを持たれかねませんが、その時点での不採用の決定はほとんどないでしょう。ただし、履歴書や職務経歴書にミスがあれば「注意力散漫である」「ミスをしやすい人である」「ビジネスマナーや常識が欠けた人である」などの印象を持たれる可能性は高まります。日付欄に限らず、応募書類全体を通してたった一つでもミスがあると、重要書類の提出前のチェックが甘いとも判断されてしまいます。
採用担当者に届く応募書類は自分のものだけではありません。まったくミスのない完璧な履歴書をほかの応募者が提出していれば、余計にミスのある履歴書は目立ちます。採用担当者にその点を比較されてしまうと選考は不利に働くでしょう。特に、金融業界やマスコミ業界では、細かな日付のミスの有無も重要な選考基準となるケースがあります。業界や職種にかかわらず、企業の体質や採用担当者の感覚、ほかの応募者のレベルによっては、日付のミス1つが最後の合否を決める際に大きな影響を及ぼしかねません。日付欄まで十分に気を配り、提出前に入念にチェックしたうえでの提出が重要です。
たかが日付と思わず注意を払おう
企業の採用担当者は、履歴書の内容だけではなく書き方からも応募者の人柄や能力を探ろうとします。履歴書に用意されている日付の記入欄にも、その目を光らせるでしょう。
履歴書内での書き方を統一させ、ほかの書類とも合わせた日付の記載がポイントです。採用担当者によっては合否にも影響しかねません。たかが日付と軽くみることなく、注意を払いながらの記入が求められます。
